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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
54/106

異世界バスツアー54「ゾンビ世界」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 ファッションと見せかけてパッションを見に行くという、タイムダジャレをかましたらタイムパトロールに怒られた新経営陣。

 このままではいけないと心を入れ替えて、真面目に次のツアー企画を考えることにした。

 さっそくトレンディツアーを考えるべくエキサイトで検索したが、最近の流行がよくわからない。

 その画面を見た魔王のご両親が、アサイーボウル流行ってますよね、と言ったので今日はアサイーボウル記念日。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 脱獄した旧経営陣に、様々な世界を調査してもらったところ、巨大アサイー(?)がたくさんある世界を発見したと知らせがはいった。

 さっそくそこにアサイーボウル食べ放題ツアーに向かおうとしたが、冷静な乗客の指摘で中止。

 巨大アサイー(?)をたらふく食べた旧経営陣は3日後に全身から枝が生えてきたので、除草剤をロックのストレートであおって治療。

 度重なる失敗にさらに心を入れ替えた新経営陣は、初心に戻ることにした。

 異世界でお客様に未知で鮮烈な体験を! という理念を改めて胸に刻み、最近流行りの異世界を魔王のご両親に聞いた。

 ゾンビっていいですよね! と、ご両親はゾンビがひたすら踊っている映画を見ながら答えるのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちはボソボソとした声でしゃべったり、窓の外を流れる風景を緊張の面持ちで眺めている。


「これより当バスはゾンビのはびこる世界に参ります」


 バスガイドの言葉に、社内の空気が期待と不安でかき回された。

 どこか暗い情熱を感じさせる表情をした2列目の乗客が「ゾンビになっていない存在はいるのですか」と不穏な質問をした。


「いいえ。残念ですが、ほとんどのものはゾンビとなっています」


 その返答に、2列目の乗客は「そう、ですか」と薄暗い表情でパンフレットに視線を落とした。

 3列目の乗客は不安そうな顔で「あの、私たちの安全は大丈夫なのでしょうか」と尋ねた。


「はい、このバスから出なければ安全です。くれぐれも外に出ないようお願いいたします」


 3列目の乗客が「は、はい」と答えた後、唇をぎゅっと噛み締めた。

 常連の乗客は「普通に悪い予感がするのう」と呟いている。

 どこか暗い期待が漂う車内を見回した後、バスガイドはマイクを口元に寄せる。


「それではゾンビ世界に参ります。皆様、どうか勝手な行動は控えられますようお願いします」


 退廃と破滅を目指してトンネルに突入したバスは、暗闇を乗り越えてなお暗い外へと踏み出す。


「皆様、ゾンビ世界に到着いたしました。窓は決して開けないでください」


 バスガイドの言葉に乗客たちが薄汚れた窓ガラスの向こうを見ると、悍ましく輝く太陽の下、濁った大地の上に不自然に刻まれた境界が見えた。

 その切り取られたような大地の中ほどに、人の形をした何かが蠢いている。

 棒状の何かを持った人のようなものが、地面を崩そうとそれを何度も大地にふりおろしていた。


 冷たい目をした最前列の乗客が「あれがゾンビですか?」と感情を感じさせない声で尋ねた。


「いいえ。あの人はこの世界の農家の方です」


 乗客たちの頭上に「?」という文字が点滅している。

 最前列の乗客が「それではゾンビはどこですか」と当然の質問をした。


「はい、この周辺ですと、あの農家の方の腸内に多数存在しています」


 乗客たちの頭上に「?」という文字がフィーバーしている。

 最前列の乗客が「どういうことですか」と感情を置き去りにしたような声で尋ねた。


「はい、この世界は、こちらの世界で言うところのグラム陰性の通性嫌気性菌、ええと、いわゆる大腸菌がゾンビ化しておりまして」


 スマホでツアー会社に電話をかけた常連の乗客は「どういうことですか」と普段の口調を置き去りにしたような声で問い合わせている。


 いろいろな感情を置き去りにしたバスは、畑で働く農家の方と村で生活している人たちを見学したあと帰還。

 後で誇大広告とか虚偽広告というクレームが入った。


 一方その頃、事前調査で探索した結果、腸内の大腸菌がゾンビ化してしまった旧経営陣は、体の不調に悩まされていた。

 しょうがないのでターンアンデッドで浄化したら、しばらく下痢が止まらなくなるのであった。

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