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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
49/106

異世界バスツアー49「バス」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 悪役令嬢のハイスピード逆再生で、乗客を生殖細胞に戻しかけるという重大インシデントを反省して実行したスローライフ農業はスローすぎて失敗。

 やはり中庸……中庸は全てを解決する……ということで時間はいじらないことにした新経営陣。

 安全に気を使いつつ、流行に乗った手堅い企画を考えようとしたが、いいアイデアが浮かばない新経営陣。

 会議室でレトロゲームを遊んでいた魔王のご両親に、なんかいい考えないッスか? と聞いたら、最近はダンジョンが流行っているみたいですよ、と罠の解除に失敗して壁の中にキャラを埋めながら返事をされるのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 乗客の安全を考えてバスに乗ったままダンジョン内の観光旅行に行ったら、ガタガタの床の上を走って乗客に小ダメージ。

 下り階段をバスで駆け下りて乗客に中ダメージ。

 抗議されて帰ることになったので、上り階段で乗客に中ダメージ。

 結果として乗客の数人から訴えられてしまい、監督官庁からも怒られが発生。

 深く反省した新経営陣は、全てをバスで完結させるのは逆に危険であると学ぶのであった。

 もっとフレキシブルに、臨機応変に、バスに囚われない発想を求めて魔王のご両親に意見を聞いてみる。

 それじゃあ、逆にバス観光なんてどうです? とか言われた新経営陣は最初のうちは考え込んでいたが、なんかピコーンとアイデアがフラッシュするのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスはバス観光に向かいます」


 バスガイドの言葉に、最前列の乗客が「あの、チラシを見た時から気になってたんですが、バス観光でどこに行くんですか?」と、それはそう思うよねという質問をした。


「はい、当バスに行きます」


 車内にたくさんの「?」が浮かんだ。

 常連の乗客が「なんか悪い予感がするのう」と呟いている。

 2列目の乗客が「あの、どういうことですか?」とあたりまえ体操的な質問をした。


「はい、今回はバス観光ということで、皆様にバスを観光していただこうと思いまして」


 車内にたくさんの「?」が浮かぶ中、バスガイドは言葉を続ける。


「そこでいつもの異世界移動用のトンネルの出口をこのバス内に設定して、皆様にバス内部を観光していただこうというコンセプトになっております」


 車内に大量の「?」が乱れ飛んでいる。

 3列目の眼鏡をかけた乗客が「えーと、つまり私たちは私たちのバスの中を、バスに乗って観光するということですか?」と、自分は何を言っているのだろうという表情をしながら質問をした。


「そうです」


 バスガイドの簡潔な言葉に、3列目の乗客は「あのー、その場合、私たちはどうなるんですか?」と不安そうな顔をしながら尋ねた。

 その質問を聞いたバスガイドは、無線機に向かって何かをボソボソと喋っている。

 通信を終えたバスガイドは、乗客に向き直り笑顔でマイクを口元に持ってきた。


「それでは皆様、当バスはこれより海水浴場に向かいます! 水着はお持ちですか?」


 持ってねーよ! とかもうすぐ11月だぞ! という抗議の声があがった結果、秋の山で紅葉狩りに変更になって一件落着。

 それで向かった先が異世界で、紅葉狩りの対象が人食い紅葉だったのでひと悶着あったのはまた別の話。

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