異世界バスツアー37「床」
✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩
いろいろあったので、本業の旅行業はおとなしくしようと珍しくまっとうな判断をした新経営陣。
その分、これまで副業としてやっていた異世界の物品をフリマとかで売りさばく業務に本腰を入れる事にした。
身長57メートルの自動人形の協力を得て、異世界で狩りをしていたがその自動人形がメンテナンスに入ってしまう。
しょうがないのでハンターをたくさん雇用して、異世界の邪神を狩りに行こうとしたら、反乱を起こされて断念無念。
あとむやみに取引量を多くしたせいで税関と税務署に目をつけられた結果、新会社のスタッフロールが始まってしまうのだった。
✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩
fin.が表示されて幕が下りた新会社。
即座に次の会社を作るのはさすがに厳しいのではないか、そう思ってしばらくおとなしくしていようと判断した新経営陣。
そこへ、「諦めたら試合終了だよ……」と余計なことを言いながら旧経営陣が脱獄してきた。
新経営陣は「経営が……したいです……!」とか言っている。
がっしりと手を取り合った両経営陣。ここに、執行猶予中と脱獄囚の四次元脱法コンビが誕生した。
とりあえず、自分たちが表に出るのはまずいので、傀儡を立てることにした両経営陣。
ふさわしい人物を探して人脈をたどったりした結果、ある一人の人物に白羽の矢が立った。
こちらの世界に転生してきた魔王のご両親である。
魔王がお昼寝中にアポイントメントを取って、副業に旅行会社の社長をしてみませんか? と軽く打診したら即了承されて両経営陣ちょっと困惑。
とりあえずご両親を表向きのトップに据えて、新会社がスタートするのであった。
✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩
「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」
笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。
ピンクのレース、ピンクのカーテン、ピンクのリボンでデコレートされたバスの中で、乗客たちは居心地悪そうにピンクの座席にじっとしていたり、ピンクのフィルムが貼ってある窓の外を流れる風景をぼんやりとした目で眺めてたりしていた。
常連の乗客が「なんか悪い予感がするのう」と呟いている。
「これより当バスの行先を決めるルーレットを回します!」
バスガイドがホームセンターで買ったばかりという感じの棒の先に、ピンクに塗られた円形のボードがついている物を自分の横に置いた。
「それではそちらのお客様! こちらに来てください!」
指名された最前列の乗客はビクッとした後、恐る恐る物体のそばに寄る。
「ルーレットスタート!」
バスガイドの言葉に乗客がルーレットを回そうとしたら、ピンクの丸ボードがボキッという音と共に外れてピンク色の床に転がった。
「おっと意外な行先! それではこれより当バスは床に向かいます!」
乗客全員の「なんでやねん!」という声が綺麗にそろった。
意味が分からないというクレーム殺到でツアー中止。
一方その頃、お昼寝から目覚めたら両親がバイトで社長になっていた魔王が(我の親になろうって連中だぞ! 普通な訳ないだろバカじゃねーの!)という内容を赤ちゃん言葉で喚いていたが後の祭りなのであった。




