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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
35/106

異世界バスツアー35「魔王」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 いろいろやらかして業務停止処分になった新会社。

 このまま羽ばたくことなく大地へと返っていくのか……と、思われていたが、今後のことを話し合う会議で宇宙的なひらめきがピコーンときた。


「日本でやるなら登録がいるけど、異世界の住人を別の異世界に連れていくなら許可いらないんじゃない?」


 アルコールが香る会議室で披露されたアイデアは、喝采をもって迎えられた。

 明るい未来を夢見た現場で実行されたアイデアは、大噴火と共に拒絶された。

 そんな感じで異世界からも業務停止処分をくらうのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 第一回、異世界人を別の異世界に連れてって観光旅行は、宗教的になにかマズかったらしくバスの天井が吹き飛んで終わった。

 異世界コミュニケーションの難しさを思い知った新経営陣。

 出来るだけ自分たちと価値観の近い方がいい、ということで魔王に魔界の皆さんで観光しませんかと営業かけたところ、「価値観が近いわけねーだろ。魔界を何だと思ってんだバーカ!」という内容を赤ちゃん言葉で喚かれてしまう。

 それでも食い下がる新経営陣に根負けした魔王は、魔界のとある辺境の一族を紹介してくれた。

 第二回、異世界人を別の異世界に連れてって観光旅行。

 状況を開始せよ。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 肌が緑色の乗客たちは不安そうな顔で辺りを見たり、唇をキュッとかんでうつむいたりしていた。


「魔王様のご紹介で皆様とお会いできる機会に恵まれたことを感謝いたします」


 バスガイドの言葉に、最前列の乗客が「魔王様はお元気でしょうか」とどこか苦しそうな表情で質問している。


「はい、当社のものがお会いした際には、元気いっぱいだったと聞き及んでおります」


 最前列の乗客は苦し気な中にもどこかほっとした表情を見せる。

 二列目の乗客が「魔王様には、お会いできないでしょうか……」と何かを我慢しているような声色で尋ねた。


「そうですね、会社に問い合わせてみます」


 バスガイドは無線機に向かい、何かを一言、二言、話している。

 無線機から離れたバスガイドは、笑顔で乗客たちに向き直った。


「本当は良くないのですが、少しだけならいいと許可が出ました」


 どこか沈んでいたバスの雰囲気が、少しだけ明るくなる。

 いくつもの笑顔を乗せたバスは、ちょっとだけ、少しだけ、寄り道をするために魔王の元へ向かうのであった。



 一方その頃。魔王は庭で日向ぼっこをしていた。


(ククク、あいつらは月に一度、我が兵器にできないか考えたくらい、すごいうんこをして辺りを埋め尽くす。そしてそろそろその時期……ククク、ハーッハッハッハ! バスめ! クソまみれになるがいい!)


 という感じで上機嫌な魔王の元にバスがやって来た。

 あとは語るに及ばず。

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