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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
テーマパークを作ろう!編
104/106

異世界バスツアー104「どうしよう!」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 正体を現した旧経営陣が飛び道具で異邦の神に対し攻撃を開始した。

 武器や人体のパーツが空に乱れ飛んで、異邦の神を後退させる。

 その隙にドラゴンを救出したが、異邦の神に逃走の気配が漂いだす。

 そこへ聖樹教会の本拠地がある大陸から世界樹の種が撃ちだされてきた。

 種は異邦の神を囲むように大地に命中して、即座に大樹に成長する。

 全部で6本の世界樹は防壁を形成して、異邦の神の環境改変を食い止める。

 攻めのターンが始まるのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 世界樹の防壁が機能するのはあと1時間ほど。

 異邦の神に駆け寄る旧経営陣と魔王。

 そしてその後を追いかけるクランツ。

 戦えるものは皆、戦場に向かう。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

 走る魔王の影から側近が黒く伸びてくる。


「広域支援術式、構築完了いたしました」

「ご苦労」


 魔王は走りながら、左手の甲に紋様を描く。


「うーむ、前世の我ならこの大陸全土をカバーできたのだがな。今はこの程度か」

「おーい」


 走る魔王にクランツが追いついてきた。


「おや、久しぶりにアレ使うの?」

「当たり前だ。あとお前も戦え」


 クランツは困ったような顔をした。


「ええー、俺は分析担当じゃん。攻撃担当はドラちゃん」

「あいつは今回復中だ。あとお前は分析じゃなくて分解担当」


 クランツの細い目が赤く怪しく光りだす。


「あれ目が乾くから嫌なんだよなあ。あと俺死んじゃったりしない?」

「防御と回復はしてやるから安心して行ってこい」

「はーい」


 飛んで行くクランツを見送った魔王は、近くに控える黒い側近に向けて口を開いた。


「親衛隊と、ゴーレムとスケルトンもありったけ向かわせろ。我が支援する」

「御意」


 魔王は足を止めると、左手の拳を地面に打ち付ける。

 拳の触れた地面から、紫色の軌跡が四方八方に走り出した。

 鈍く光る光跡は、世界樹のさらに外側を囲む魔法陣を描く。


「よし」


 魔王は地面から手を離し立ち上がった。


「我が手の内にある者はすべて一騎当千となる……まあ現状は最初から一騎当千の奴しかおらんが」

「魔王様……」


 魔王の影から側近が顔を出す。


「どうした」

「その、ゴーレムマスターと死霊術士が、手を飛ばすやつをやっていいか? と……」

「……好きに生きろと伝えろ」

「……御意」


 ふう、とため息をついた魔王が前を見ると、触手を伸ばして滅茶苦茶に暴れまわる異邦の神が段々と赤銅色から灰色になっていくのが見えた。


「なんだ……?」

「あーもうダメダメー、目が痛いー」


 目を真っ赤にしてボロボロ涙を流しているクランツがパタパタ飛んできた。


「どうした」

「あいつ守りを固めたみたい。因果の一部を無効化してる」

「また厄介な防御を……」


 あごに手を当てて考えだした魔王の足元に、触手に吹っ飛ばされたゼオンが転がって来た。


「やあ久しぶり」

「そうだね」


 立ち上がって右手を修復したゼオンは、白い歯を見せてにっこりと笑う。


「困ったね」

「そうだね」


 塩対応の魔王を特に気にしないゼオンは、何もない空間に手をかざした。

 四角に切り取られた空間に、魔王のご両親と新経営陣が映っている。


「こんな時は幹部会議で対応を検討しよう!」

「ここ戦場なんだが」

「気にしない、気にしない」


 諦めた魔王は気にしないことにした。

 ついでに少し気になっていたことを聞いてみる。


「あんたらがアレってことは、新経営陣の連中も何かあるのか」


 映像の中の新経営陣は「いえ、自分らはスカウトされた元サラリーマンです」とか言っている。


「それはそれでどうなんだ……というか、それで後継者がつとまるのか?」


 魔王の疑問に、ゼオンは白い歯を輝かせながら答える。


「いやあ、彼らは大したもんだよ。僕たちは知っている世界か、それに近い世界にしか異世界門を開けないけど、彼らは全く知らない世界にも接続できる方法を編み出したんだ。さらにある程度の自動化のシステムまで開発してね。おかげで会社はどんどん発展したんだ」

「認知が歪んでないか?」

「気にしない、気にしない」


 諦めた魔王は気にしないことにした。

 少しは何かを気にした方がいいゼオンは、画面に向けて白い歯を見せる。


「それじゃあ、何かいい意見はないかな?」


 魔王のご両親が「なにか強い世界をぶつけたら?」とか言っている。

 新経営陣が「さすがにそれは無茶ですよ」と答えている。

 ゼオンもはっはっは、と緊張感のない笑顔を見せている。

 魔王はひとり黙ったまま考え込んでいる。

 顔を上げた魔王は、画面の向こうにいる新経営陣を見つめる。


「いくつか、確認したいことがある」

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