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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
テーマパークを作ろう!編
100/106

異世界バスツアー100「話し合おう!」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 魔王城跡地におっ立った巨大な世界樹の内部をくりぬいてアトラクションを入れる事になった魔王城観光地化プロジェクト。

 着々と進行する工事中、変な緑のローブを着た人たちがやってきていきなり失神したという知らせが魔王の元に入る。

 魔王が現場に赴くと、倒れている緑1とその側で慌てている緑×2、その様子を観察している設計担当がいた。

 目を覚ました緑1が、世界樹に穴を開けたことについて魔王と設計担当を非難し始める。

 その反応を見ていた設計担当が悪ノリで適当な事を言ったら、緑1が泡を吹いて倒れてしまうのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 緑色をした変な連中は去っていった。

 魔王は設計担当に、目的とか聞いとけよ、と苦言を呈した。

 設計担当は、いやーごめんごめん、つい、と笑っている。

 それからしばらくは平穏な日々が続き、世界樹内部の空洞も大きくなったある日。

 それは世界樹の広大な木陰の下に立っていた。

 黒く長い髪を風に揺らし、緑と白の入り混じる模様のローブを着た若い女性が、緑のローブを着たふたりの間に立っていた。

 ゴーレムやスケルトンがひっきりなしに出入りする世界樹空洞入り口の近くに立っていた。

 なんか叫んで倒れるのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「……変な奴?」


 世界樹の近くにある臨時本部で工事の進捗について報告を受けていた魔王(子供)は、ついでのように妙な人物が現場にいるという話を聞いた。

 曰く、緑のローブを着たふたりとなんだか豪華な緑と白のローブを着たひとりで、世界樹に開いた穴にゴーレムやスケルトンが出入りする様子を見て「ンゴォー!」と叫んで倒れたという。

 え、また? と呟いた魔王はとりあえず現場に行ってみるのであった。


 現場に到着した魔王が見たのは、倒れている高そうな緑と白のローブを着た若い女性とその側でうろたえている緑のふたり。

 そして黒い羽に黒い髪の設計担当が、3人を興味深そうに観察している。

 歩いて近づいた魔王は、その姿を見てつい先日の記憶がよみがえった。


「……こいつらこないだの不審者じゃねーか」

「おっ、来たねえ」


 魔王の到着にクランツは黒い翼をパタパタさせている。


「我は結構忙しいんだがなあ。なんなんだこいつらは」

「今度のは偉い人っぽいねえ。やっぱり穴を見て気絶したらしいけど」


 ふたりが不審者をながめていると、倒れていた若い女性がむっくりと起き上がった。

 緑色のふたりがあわててそばに寄る。


「リリアナ教主!」

「リリアナ教主、大丈夫ですか!」


 リリアナ教主と呼ばれた若い女性は、額のあたりに手を置いたあと周りを見渡した。


「……わしは、気を失っておったのか?」

「おい」


 子供の姿をした魔王がリリアナに近寄る。

 リリアナはその姿を不思議そうにながめたあと口を開いた。


「おぬしは……?」

「ここの責任者だ。それでおまえはなんだ」


 魔王の言葉に、リリアナは少し驚いたような表情をしたあと、ゆっくりと立ち上がり姿勢を正す。

 黒く長い髪がまっすぐに伸びていて、少し幼さの残る顔に凛とした意志を感じさせる目。


「わしは、聖樹教会の教主、リリアナ・ヴォルガードという。今日は、話をしに来たのじゃ」

「……まあ、こっちも一度話をしたいと思ってたからちょうどいい」


 魔王はリリアナ一行を臨時本部プレハブに連行することにしたのだった。



 世界樹の近くにある臨時本部。

 その内部のとても質素な会議室では、緊急の幹部会議が開かれていた。

 リリアナは会議室内のちょっと古い素朴な椅子に座り、緑のローブを着た付き添いのものはその両隣に立っている。


「で、話とは?」


 魔王はリリアナの方を見ながら尋ねた。


「あの作業を今すぐやめてほしい。頼む、この通りじゃ」


 リリアナは立ち上がり頭を下げる。

 その様子を見ていたクランツが、テーブルの上で頬杖をしながら口を開いた。


「ずいぶん下手にでるねえ」

「それは……その、わしらの戦力では、あのー、竜? 無理みたいじゃから……こうやって頼むしかないのじゃ……」


 よく見るとリリアナは細かい汗をいっぱいかいている。

 魔王は片方の眉を少し上げる。


「わざわざ、言わば敵地のど真ん中まで来てまで頼むことがそれか?」

「そ、そうじゃ。頼む、作業をやめてくれ、いや、やめてください。」


 リリアナは頭を下げたまま動かない。

 クランツはその細い目を少しだけ開いている。


「そこまでしなきゃいけない理由が気になるねえ」


 その言葉にリリアナは顔を上げた。本来は白いであろう顔色が土気色に近い。

 きつく唇を結んでいたが、ひとつ息を吐いたあと話し出した。


「わかった……話そう。その……できれば他言無用で頼む」

「リリアナ教主……!」

「よい……もうこれしかないのじゃ」


 リリアナは諦めたような、覚悟を決めたような表情で、ゆっくりと素朴な椅子に座る。

 ボコッ、という音がしてボロい椅子の足が折れてリリアナは後ろにひっくり返るのであった。

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