匿名掲示板上のやりとり
翌日は、土曜日で仕事が休み。美穂は11時までベッドでゴロゴロした後、ベッドから起きて、PCを立ち上げた。目的は、某女性用巨大掲示板で、髪の悩み・コンプレックスに関するトピックを探すためだ。
美穂「さあー面白そうなトピックはあるかな?」
トピック一覧を眺めているうちに、『43歳、もう縮毛矯正を辞めたい』というタイトルに、美穂の目が留まった。相談者は、酷い天パにコンプレックスを持っており、20年以上縮毛矯正を続けているとのこと。髪も痛むし、お金も勿体ないし、そろそろ辞めたいけど勇気がないといった内容のトピックだ。
美穂「このトピック・・・博美の状況と凄く似てる。面白そう。今日は、このトピックに決めた♪」
早速、美穂はいつものように、コメントを投稿した。
―相談者さんと同世代です。私は幸い髪質に恵まれていて、生まれてから一度も縮毛矯正なんてやったことありませんが、いつもツヤツヤサラサラです。白髪もありませんしね。だから、綺麗な髪質で未だにストレートロングが出来ています。少し厳しい意見になってしまうかもしれませんが、縮毛矯正をしても少し伸びてくると天パで生え際や頭頂部がウネってきますよね。あれ、私、凄く気になるんですよ。いつも友人の頭を見て、あーあ、またウネって来たな。可哀そう・・・って思っています。だから、バレバレの縮毛矯正に頼るのではなく、あなたも私のように生まれたままの髪質で勝負されてはどうでしょうか?
美穂のコメントに対して、相談者からレスが付いた。
―回答ありがとうございます。私にも、あなたのように綺麗な髪が自慢の友人がおります。昔から、友人の視線が私の頭頂部に時々来ていることが気になっていました。今、その理由がわかりました。彼女は、私の天パを笑っていたんですね。
美穂「えっ・・・これ、まさか、博美本人じゃないよね?まさか私の視線に気づいていたってこと?いやいや・・・・そんなわけない。これは偶然よ。」
相談者のレスに、美穂も回答した。
―いやいや、笑ってなんていないですよ。天パって大変そうだなって思っているだけですよ。私は天パじゃなくて良かったってね(笑)
美穂のコメントに、それ以降相談者からのレスが付くことはなかった。
美穂「まあ、いっか。別に、万が一、博美本人だったとして、私に何か言ってきたとしても、シラを切ればいいしね。物的証拠は何もないから(笑)」
美穂は相談者とのやり取りを一旦忘れることにした。