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会社の同僚との会話

普通、ロングヘアの人は、朝の髪のセットに時間が掛かるものだ。寝ぐせを取るために水分を含ませ、ドライヤーで乾かしてから、アイロンやブラッシングで髪を整える必要がある為だ。一方、美穂はというと髪質が恵まれている為、殆ど寝ぐせが付かない。手櫛で少し整えるだけで、サラサラストレートヘアの出来上がりなのだ。アラフォー女性の一人暮らしの為、美穂の朝はかなりルーズだ。9時から勤務開始なのだが、起床時間は7時45分。美穂は、化粧・歯磨き・身支度をささっと済ませて、8時半には家を出発する。今朝も、いつも通り8時半に家を出発した。お気に入りのベージュのトレンチコートを羽織って。3月初旬だが、まだ肌寒い。美穂は足早に、自分の軽自動車に乗り込んだ。美穂の勤めている会社は、地方都市にある為、基本は車通勤をしている。オフィスまでは、車で約20分ほどの距離。ちなみに美穂は内勤で、基本お客様と直接的に接する業務ではない。その為、美穂のオフィスではロングヘアの人も多く、まとめ髪をしないでダウンスタイルにしている人も多い。車通勤の美穂は、家から職場に着くまで、そして業務中も自慢の髪を縛らずに下ろした状態で仕事をしている。

 美穂はオフィスに着くと、まず荷物を置くために女子ロッカーに向かった。女子ロッカーで、コートを脱いでいると、河合恵美が入ってきた。恵美は、大卒3年目の若手社員だ。


恵美「岡田さん。おはようございます。今日も寒いですね。」

美穂「恵美ちゃん。おはよう。本当、寒いよね。あれ、また髪染めたの?」

恵美「そうなんですよ。どうですか?似合いますか?」


そういいながら、恵美は栗色に染められたセミロングの髪を揺らして見せた。


美穂「うん。似合ってる。良い色だね。とっても可愛いよ。」

恵美「ありがとうございます。岡田さんも、相変わらず髪綺麗ですね。私、スーパーロングってやったことないから、憧れちゃいます。岡田さんの髪。」

美穂「ありがとう。恵美ちゃん。でも、私の髪なんて長いだけだよ。特に、何かケアしているわけでもないしね。」

(生まれつきの髪質が良いから、ケアなんてしなくても綺麗なだけだけどね。)


美穂と恵美が女子ロッカーで談笑していると、安田博美が女子ロッカーに駆けこんできた。博美は美穂と同期入社の43歳で2児の母だ。


博美「美穂、恵美ちゃん。おはよう。そんなところでゆっくりしていると遅刻になっちゃうよ。」

美穂「そうね。急がなくちゃ。恵美ちゃん、行きましょう。」

恵美「はい。では、失礼します。」


ロッカーから出る前に、美穂は博美の頭頂部にこっそり目をやった。


(根元がウネって来ているわよ。ふふふ。そろそろ美容院行った方がいんじゃないの?)


 博美は酷い天パがコンプレックスで、入社以来、定期的に縮毛矯正を掛けている。その為、髪が少し伸びてくると、生え際にウネリが出てくる。元の天パの髪が伸びてくる為だ。博美は美人で明るくて、男性からも人気があった為、美穂は博美に対して劣等感を感じていた。ただ、博美の天パへのコンプレックスに気づいてからは、寧ろ、博美に対してちょっぴり優越感を感じるようになっていた。

美穂は、顔がにやけそうになるのを堪えながら、女子ロッカーを後にした。



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