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公開処刑③

翌日、美穂は自分の髪の写真を添えて、山下に連絡した。


― 気分転換に、この髪をバッサリ髪を切ろうと思うの。バッサリ切って、アゴくらいまで切って、ショートボブにしたい。私みたいな髪質なら、きっと似合うよね?だから、ロングヘアの美穂に会えるのは今週までだから金曜日に会わない?-


添付した写真は、ヅイッターにも投稿したことのある後ろ姿の写真。我ながら、真っすぐでサラサラで絹のような光沢があり、綺麗な髪だと思う。


(これでよし、と。これで山下君は、髪を切らないでと止めてくるはず。まあ、元々、髪を切る気は1ミリもないんだけどね(笑))


山下からの返信を待っている間、美穂は、生意気な足立理沙のことを考えていた。理沙は、職場に髪を降ろして出社するようになっていた。自分と同じような髪型の理沙の存在が疎ましく思えていた。しかも、理沙の髪は、髪に関しては絶対的な自信を持っている美穂から見ても、綺麗に見えるから、なおさら気に入らない。加えて、自分の髪を縮毛矯正と決めつけてきたのも許せない。美穂は、何とかして理沙の髪を公開処刑してやろうと画策していた。博美や恵美の髪をヅイッター上で公開処刑してやった時のように。


(何とかして、理沙ちゃんの髪の写真を撮りたい。そして、それをヅイッターで晒して、どっちの髪が上なのかをはっきりさせてやりたい。)


そうこうしてると、山下から返信が返ってきた。


―わかりました。金曜日の仕事終わりに、私の家で会いましょう。-


美穂「ふふふ。やっぱり山下君は、この髪を切ってほしくないのね。金曜日は、髪を切らないで―って泣きついてくるに決まってる。金曜日は、わざとらしく裁ちバサミでも持って行こうかな?」


美穂は山下に返信した後に、何気なく、インヌタグラムを検索してみた。以前、足立理沙がインヌタグラムをやってるという話をしてたのを思い出したのだ。足立理沙で検索しても、さすがに引っかからなかった。


美穂「さすがに本名ではやってないか。会社の誰かと繋がってないかな?」


美穂は、恵美のインヌタのフォロワーをくまなく調べてみた。その中に、理沙のモノと思われるアカウントを見つけた。彼女のインヌタアカウントを見ると、何枚か髪を強調した写真も載っていた。コメントを見ると、彼女の髪を褒めるコメントがたくさん付いていた。


(髪には自信があるって言ってたしね。美容室行ったっていう投稿に、さりげなく髪の写真も載せているけど、本当は綺麗な髪を自慢したいんだよね?理沙ちゃん。ふふふ。可愛いね・・・でも、そんなあなたの自慢の髪も私の髪で公開処刑してあげるからね(笑))


美穂は、その中の髪が良く映っている1枚の写真を保存した。そして、美穂の髪の写真とのツーショット写真を合成して、ヅイッターに投稿した。


―アスカ(SNS上の美穂の名前)の知り合いの若い子で、とっても髪が綺麗な子が居るんだ。その子の髪の毛とアスカの髪の毛だと、どっちが綺麗?贔屓目なしで評価してね。


美穂「さあ、これで公開処刑完了。私が勝つのは決まってるけど、みんなどんな反応するのかな?楽しみ♪」


暫くすると、投稿にコメントが付いた。美穂はニヤニヤしながら、コメントを確認した。


―アスカさんの髪も美しいけど、右の子の髪も本当に綺麗ですね。甲乙つけ難いです。

―右の子の髪、若さが溢れてますね。髪質もボリュームも長さも満点!

―やっぱり若い子の髪は綺麗ですね。全然痛んでないし、ハリもコシも凄い。

―この右の子の美髪は、いくら出したら触れるんですか?(笑)

―右の子の髪は完璧ですね。パーツモデル並みの美しさ。あ、勿論、アスカさんの髪も綺麗ですよ。

―うーん、やっぱり40代の美髪と、20代の美髪を比べると、20代にやや軍配が上がるかな?

―この右の子の髪は非の打ち所のないくらい綺麗だけど、私はアスカさんの髪押しです!

―右の子の若くて美しい髪と比べると、アスカさんの髪は、ほんの少しトップのハリがないような気がする。アスカさんの髪も十分な美髪ですけど。


美穂「え・・・どういうこと?」


予想外のコメントに、美穂は思わず声がこぼれた。足立理沙の髪を賞賛するコメントが多かったからだ。勿論、美穂の髪を褒めるコメントもあるのだが、70%~80%は理沙の若くて美しい髪を絶賛していた。加えて、今までは見たことがない、加齢による髪質の低下をしてきするようなコメントもあった。


(私の髪よりも、理沙ちゃんの髪の方が綺麗ってこと?加齢で私の髪質が以前より低下してるの?そんなわけはない!そもそも、理沙ちゃんの髪は、美容室帰りの写真だからフェアじゃないし!絶対に認めない。髪質は、理沙ちゃんよりも私の方が絶対に上だから。)


頭に血が上った美穂は、急いで、ヅイッターに追加のコメントを投稿した。


―言い忘れたけど、右の子は、美容室帰りの写真だから。美容室で縮毛矯正と髪質改善の施術後の写真。一方で私の髪は、生まれてから縮毛矯正なんて一度もかけたことのない素の髪だから。その点も考慮してね。

あと、加齢による私の髪質の低下は一切ないからね。実際、レディースアデランズで、髪年齢診断したら23歳だったしね。ちなみに、右の子の年齢よりも、私の髪年齢の方が若いから。


美穂が投稿して暫くすると、続々とコメントが付いた。


―おばさん必死過ぎて草

―はいはい。アスカさんの髪の方が綺麗でちゅねー。これで満足ですか?

―いくら髪綺麗でも40代の美髪と、20代の美髪は違うよね。比べると差が出ちゃうね。

―おばさん怖い・・・

―その糞長い髪をさっぱり切ったら?おばさん(笑)

―性格悪いおばさんには需要ありません。

―髪年齢23歳だか知らないけど、本気で20代の髪と張り合えると思ってるの?(笑)

―これから加齢で、どんどん髪質悪くなるから気を付けてね。もう年齢的にとっくに髪質のピーク過ぎてるから(笑)


美穂のヅイッターアカウントは批判のコメントでプチ炎上のような状態になってしまった。


―髪フェチども、きもい。死ね。


美穂は暴言を投稿して、アカウントを閉じた。


(なによ、こいつら!気持ち悪い髪フェチのくせに。私の髪が足立理沙よりも劣っているなんて、絶対に認めない。)


美穂は、アスカ名のインヌタのアカウントを使い、足立理沙の美容室帰りの髪の写真にコメントを投稿した。


―元々は実は癖毛なんですよねぇ。美容室で、縮毛矯正と髪質改善で、一時的に美髪になれて良かったですねー。天然ストレートの美しさには全然敵わないですけどね(笑)。調子に乗らないでね(笑)


足立理沙に八つ当たりをして、美穂はスマホを閉じた。


(もう今日は寝よう。ヅイッターで糞髪フェチどもに褒めてもらわなくても、私には山下君がいる。金曜日に私の髪をたっぷり褒めてもらおう。それで私の自尊心を回復させよう。)

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