髪フェチ後輩視点
翌日、山下は足立理沙に話しかけていた。美穂が嫉妬した足立理沙の髪が気になって、髪フェチとしてじっくり観察したくなったためだ。
山下「足立さん、おはよう。ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、大丈夫かな?」
足立「珍しいですね。山下さんが声をかけてくるなんて。何でしょうか?」
足立理沙は、少し首を傾げながら答えた。腰まである真っ直ぐな黒髪がサラサラ揺れる。艶もたっぷりあって、上質な絹のように美しい髪。山下は、足立の髪に一瞬見惚れてしまった。
足立「どうしましたか?私の髪になにかついてます??」
声をかけられて、山下は我に返った。出来るだけ、どうようした素振りを見せないように、答えた。
山下「あ、ごめん・・・。すごく髪の毛が綺麗だなーって、思って。それだけだから、気にしないで。」
足立「ありがとうございます。私、髪は結構自信があるんですよね。みんなに良く褒められるし・・・。あ、それで、お願いしたいことって何ですか?」
山下「今日の3時から会議があるんだけど、それまでにこの資料を纏めておいてもらえないかな?補足資料として使うから、体裁は気にしなくてもいいから。」
足立「はい。このくらいなら、何とか時間内に終わると思います。」
山下「助かるよ。よろしくね。」
足立は山下からに簡単な指示を受けて、自分の席に戻った。そして、足立は長い髪を椅子の背もたれに垂らした。その横では、直属の先輩である美穂が座っている。美穂も足立と同様に、髪を背もたれに垂らしている。その様子を見ながら、山下は、先ほど間近で見た足立理沙の髪と、美穂の髪を改めて比較してみた。
(長さは、美穂さんも足立さんも同じくらい。髪質は二人とも似てる。細くてサラサラな直毛。艶も十分にある。持って生まれた髪質自体は甲乙つけ難い。ただ、美穂さんの髪の髪質は、すでに加齢によって変わり始めている。今まで気づかなかったが、トップのボリュームも足立さんに比べると少しペタっとしてるように見える。もう髪質のピークは過ぎていて、これからどんどん変化が健在化していくだろう。今の足立さんの髪が100点満点だとすると、美穂さんの髪は90点くらい。まだ十分美髪のレベル。でも、若い足立さんの点数は変わらないけど、美穂さんの髪質はどんどん劣化していく一方。点数差はどんどん開いていくだろうな。)
3時前に足立から資料を受け取った山下は、無事に大事な会議を乗り切った。会議が終わると、山下は足立に声をかけた。
山下「足立さん、資料すごくよく出来てて、助かったよ。ありがとう。今度、なんかお礼するよ。」
褒められた足立は少し照れくさそうにしながら、笑顔になった。サラサラの髪を揺らしながら、足立が答えた。
足立「良かったです。じゃあ、お言葉に甘えて、今度、美味しいランチに連れて行ってくれますか?」
山下は、足立からのランチの誘いに少し驚きながら、「わかったよ。美味しいランチ探しておくね。」とあっさり答えた。山下は、美穂よりも美しい髪を持つ足立理沙が気になり始めていた。だから、遅かれ早かれ、食事に誘おうと考えていたからだ。
帰宅後、山下は、美穂のことをぼんやり考えていた。
山下は、付き合い始めてから、美穂のプライドの高さや性格の悪さが少し気になっていた。また、どんどん太ってきている美穂について、自堕落で自己管理が出来ていない点も、あまり好きではなかった。ただ、髪フェチの山下の気持ちを繋ぎとめるだけの美しい髪を美穂は有している。正直、山下が美穂と関係を続けている理由は、その美しい髪だけだった。
でも、その状況は変わりつつある。山下は、美穂の美しい髪の賞味期限が迫っていることを気づいてしまった。そして、若くて美穂よりも美しい髪を持つ足立理沙が目の前に現れた。山下は自分の興味が、美穂の髪から足立理沙の髪に少しずつ移り始めていることを感じていた。
山下「美穂さんとの関係を一旦見直すタイミングかも。少し、美穂さんと距離をおこう。」
そう呟くと、足立理沙と行くための美味しいランチの店を探し始めた。
一週間が経過した。
美穂「最近、山下君、なんか冷たいな。全然、連絡くれないし、こっちから連絡しても、すぐに切ろうとするし。仕事がそんなに忙しいのかな?」
美穂は、ここ1週間、山下がまともに相手にしてくれないことに少しいら立っていた。だだ、山下の心が離れ始めているとは微塵も感じていなかった。美穂は自慢の髪を手櫛しながら、こうつぶやいた。
美穂「そうだ!私がこの髪をバッサリショートにしたいって言ったら、どんなに忙しくても慌てて連絡してくるよね。山下君は、私の髪にゾッコンだから、「切らないで―」って泣きついてくるに決まってるし。ふふふ、かわいい。」
美穂は楽しそうなドッキリを思いつき、ニヤニヤしながら、飲みかけのビールを流し込んだ。今日は、よく眠れそうだ。




