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美穂の日課①

美穂「今日も疲れた~。何で仕事って、こんなに面倒臭いのかな~。」

会社の愚痴を言いながら、美穂は缶ビールを片手にPCを立ち上げた。帰宅後、ヅイッターのフォロワー数を確認することが、美穂のルーティーンになっている。

美穂「おっ、今日も15人増えている。順調、順調。この調子で行けば、今月末には1500人に届くかな。」

ニヤニヤしながら、ビールを口に注いでいく。

岡田美穂は、一部上場の輸送機器メーカーのOLだ。地元の国立大を卒業後、今の会社に就職して早20年。今年で43歳になる。容姿は可もなく不可もなくといったところだが、未だ結婚には縁がない。勿論、今までに数人と付き合った経験はある。ただ、美穂のプライドの高さが邪魔をして、どの付き合いもゴールまで至らなかった。

そんな美穂の自慢は、腰よりも長いサラサラロングヘア。生まれつき髪質に恵まれており、アラフォーにも関わらず、艶々サラサラの状態をキープしている。白髪もなく、縮毛矯正等不要の黒髪のストレートロング。美容室や友人に髪のことを褒められることが多く、特に担当美容師からは20代の髪質と驚かれている。

美穂の趣味は、ヅイッターに自慢の髪の画像やヘアケアについての投稿をすること。当然、身バレを避けるため、後ろ姿の画像や髪以外にモザイク処理をした画像のみを投稿するよう気を付けている。約半年前にアカウントを開設し、写真を週に1-2回ほど投稿しているだけだが、既にフォロワー数は1200人を超えている。ヅイッターを始めた当初、予想以上の反響と、自分の自慢の髪への好意的なコメントの多さに驚いていたが、今では当然のこととして受け入れている。元々、髪にはかなりの自信があったが、この反響を見て、その自信が、確信に変わったからだ。私の髪は、人よりも優れている特別な髪質であるという確信に。

美穂「さて、今日はどんなコメントが来ているかなー」

美穂は、ヅイッターの自分の動画に付いているコメントを眺めた。


―長くて、サラサラ。本当に綺麗。触ってみたいです。

―美髪の極みですね。

―凄い。CMでしか見たこと無いレベル・・・。

―まさに神(髪)動画ですね。最高です。

―国宝級の美髪。見惚れてしまう

―いつも見ています!いつ見ても凄く綺麗。目の保養です!


美穂のヅイッターのフォロワーは、髪フェチの男性が多い。これらの男性からの称賛のコメントを見ると、美穂の自尊心が刺激され、ちょっぴり嬉しい気分になる。美穂にとっては、このヅイッターの賞賛コメントを見ながら、飲むビールの味が格別なのだ。


美穂「やっぱり画像よりも、動画の方が反応いいな・・・。コメントの内容は、まあ、いつもと変わらないけどね。」


そう呟きながら、美穂は右手の缶ビールを飲みほすと、一旦ヅイッターの画面を閉じた。そして、すぐに別のWebページを開いた。

 美穂にはもう一つのルーティーンがある。それは、女性専用の巨大掲示板で、髪に関するトピックを見ることだ。主に、髪の悩み・コンプレックス関連のトピックを。


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