髪フェチくん②
美穂に促され、少し照れくさそうにしながら、山下が答えた。
山下「はい。実は、私はご指摘の通り髪フェチで・・・岡田さんの髪に興味がありました。ヅィッターで岡田さんが、髪の画像や動画を投稿しているのを見て、もっと間近で見たい、触りたいという気持ちを常に持っていました。」
美穂は、わざと山下に見せつけるように髪を弄りながら、答えた。
美穂「ふーん、この髪をね。でも、どうして、私がアスカという名前でヅィッターに投稿してるってわかったの?」
山下「2か月くらい前、会社で昼休憩中に、たまたま岡田さんのスマホの画面が見えたんです。アスカさんのアカウントを岡田さんが見ているのを。私は以前からアスカさんのフォロワーだったので、そこでピンと来ました。髪の長さ、髪質も同じだし、アスカさんは岡田さんで間違いないと。」
美穂「なるほどね。会社でスマホ見るときは気を付けないとね。でも、私の髪ってそんなに綺麗なの?」
山下「岡田さんの髪質は、髪フェチ視点では満点ですよ。腰までの長さなのに、全く痛んでいないし。細くて、サラサラで全く癖のないストレートヘア。艶もあって本当に綺麗です。会社で仕事中に陽の光が岡田さんの髪に当たると、本当に輝くんですよ。写真に撮りたいくらい綺麗です。」
美穂は、髪を人差し指にクルクルと巻き付けながら、山下の方を見た。自慢の髪を褒められて嬉しくなっている気持ちを顔に出さないように、気を付けながら。
美穂「ただ長いだけの髪よ。特別なヘアケアとかもしていないしね。」
山下「ヘアケアをしなくて、このレベルの美髪というのは相当髪質に恵まれているからですよ。若い人だと、ヘアケア無しでも美髪の方もときどきいますけど、岡田さんくらいの年齢でこの髪質・長さの人は、見たこと無いです。本当に素晴らしい髪質です。」
山下はふと、我に返った。髪の話になって熱くなっている自分に気づき、少し恥ずかしくなったのだ。恥ずかしそうな山下を尻目に、美穂は笑みを浮かべながら、聞き直した。
美穂「それで、山下くんは何がしたいの?触りたいの?私の髪に。」
山下「はい。見るだけでなく、出来れば触らせて欲しいです。」
美穂「うーん。どうしようかな・・・。見せるのはいいけど、彼氏でもない男性に髪を触らせるのはちょっと抵抗あるかも・・・。彼氏でもない男性ね(笑)」
美穂はわざとらしく、サラサラな髪を揺らして見せた。柑橘系のシャンプーの香りがほのかに広がった。
山下「わかりました。もしよろしければ、僕とお付き合いしてもらえませんか?岡田さんは僕の理想の髪をお持ちなので、前からとても魅力的に感じていました。」
美穂「OK。わかったわ。付き合いましょう。私も山下くんは可愛いと思っていたの。」
(思い通りの展開になったわ。28歳で15歳年下だけど、海外営業部のエースの山下くんなら、悪くないわ。ふふふ。)
会計を済ませてから、二人はカフェを出た。美穂は、いつもより心地よくサラサラな髪を夜風になびかせていた。




