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髪年齢診断②

清水「岡田さんの髪年齢は38歳です。実年齢からマイナス5歳なので、髪の状態は比較的良い方だと思います。」


美穂「えっ、嘘・・・・」


想像と違う結果に、美穂は動揺を隠せなかった。20代前半と思っていた髪年齢は、まさかの38歳。何かの間違いではないか。美穂は、自慢の髪を清水にアピールするように、わざとらしく手櫛をしながら、問い直した。


美穂「ほ・・・本当に38歳なんですか?28歳の間違いではなくて?」


清水は、美穂の圧力に負けて、再度、診断結果に目を通した。そして、一旦頷いた後、美穂の方に向き直り、優しい顔で説明を始めた。


清水「診断結果を詳しく説明しますね。まず、髪自体の状態です。水分量は13%。これは健康な髪の基準を上回っています。髪の断面は、綺麗な丸形でした。40代になると、毛穴の形が変わって、髪の断面が楕円形になってくる人が多いです。これが加齢に伴う癖毛に繋がるのですが、岡田さんの髪は綺麗な丸形なので、現時点では素直な直毛が生えていると言って飯でしょう。髪の太さは、標準よりもやや細いですが、これも加齢によって細くなったというよりは、元々の髪質だと思うので、特に問題はありません。髪の張りやコシも十分にありますし、キューティクルも綺麗に整っています。髪だけの状態を見れば、岡田さんの髪はかなり若々しく、20代の髪と言っても、差支えないと思います。」


 美穂は、ここまでの清水の説明を聞き、徐々に落ち着きと自信を取り戻していた。


(やっぱり38歳じゃなくて、20代じゃん!あービックリした。まあ、そんな訳ないと思っていたけどね(笑))


 清水は、PCにマイクロスコープで撮影した美穂の頭皮の写真を投影した。そのディスプレイの写真を美穂に見せながら、清水は説明を続けた。


清水「ただ、問題は頭皮の状態です。この写真を見てください。例えば、この毛穴から3本髪が映えています。一本は力強く伸びています。これが、綺麗に伸びている髪です。でもそれ以外の短い2本は元気が無く、細いですよね。このままだと、今の綺麗な髪が抜けた後に次に伸びてくる髪はこの細くてウネウネしている髪になります。しかも、この状態では今の長さまで成長する前に、抜け落ちてしまうと思います。」


 美穂は、初めて見た自分の頭皮の写真から目が離せなくなった。他の毛穴を見ても、力強く伸びている髪は1本だけで、他の髪は頼りなく見えた。美穂が黙っていると、清水は説明を続けた。


清水「これに加えて、頭皮の弾力性も測定しましたが、こちらは加齢によりだいぶ固くなってきています。頭皮の状態は、よく見ても年相応の40代といったところでしょう。纏めると、髪自体の状態は非常に良いですが、この頭皮の状態を考慮して、38歳とさせて頂きました。」


 詳細な説明を聞き、美穂は愕然とした。自慢の髪について、今まで褒められることはあっても、老化しているとか状態が悪い等とは言われた経験は一切無かったからだ。ショックで言葉が出ない美穂を尻目に、清水はこう続けた。


清水「岡田さん、でも心配しないでください。我々レディースアデランズが提供する育毛プログラムを今から行えば、薄毛対策は出来ますから。プログラムは、毎月3万円のコースがお薦めです。このコースなら、わが社が開発した専用の育毛剤と、週に1回の頭皮洗浄、ミノキジルが含まれるタブレットが処方されます。育毛トレーナーとして、私たちが全力でサポートしますので、一緒に頑張って行きましょう。」


美穂「もう、結構です!帰ります!」


美穂は、清水の説明を強い口調で遮り、鞄を持ち、その足でレディースアデランズの事務所を飛び出した。自慢の髪の髪年齢が38歳と告げられただけでなく、薄毛治療の説明まで聞かされるという屈辱に耐えきれなかったのだ。


(あんな髪年齢診断なんてデタラメよ。第一、あいつら薄毛治療の薬を売りつけたいだけじゃない!その為に、ああやって客の不安を煽ってるんだわ。髪年齢38歳なんて、絶対認めないんだから!)


 美穂は苛立ちながら階段を降り、ビルから外に出た。こんな気分が悪い日は早く家に帰ってビールを飲みたい。そう思いながら、足早に駅に向かった。


恵美「あれ、岡田さん、何であんなビルから?レディースアデランズ??何でこんなところに?」


美穂は全く気付いていなかった。同僚の河合恵美に見られていたことに。


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