表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/56

騎士の来訪1

よろしければ、お読み下さい。

 マティアスと契約した翌日、ガブリエラは二階の客室で目を覚ますと、昨日干してあった赤いドレスを着て、一階にある食堂に顔を出した。


「おはようございます、ガブリエラ嬢」


 リディオが笑顔で挨拶する。


「おはようございます、リディオさん」


 ガブリエラも笑顔で挨拶を返し、ちらりと食堂の奥を見ると、むすっとした顔のマティアスが新聞を読んでいた。無理矢理契約した事への怒りが収まっていないらしい。

 かと言って、契約書を破ったり燃やしたりしようとしない辺り、律儀なのかもしれない。


「おはようございます、マティアス様」

「……おはよう」


 ガブリエラが空いている椅子に座ってテーブルを見ると、目の前にはパンとチーズとトマトが乗った皿が一枚置かれていた。チーズとトマトは、パンに挟んでサンドイッチにする為にあるのだろう。

 見ると、マティアスの目の前にも同じものが置かれている。しかし、マティアスは皿には手を付けず、コーヒーのみ飲んでいるようだ。


「食べないんですか?」


 ガブリエラが聞くと、マティアスは目も合わせず言った。


「……食べなければとは思うが、どうしても食欲が出ない」


 せっかくリディオが用意してくれたのに。


「じゃあ、マティアス様の目の前にある分は、私の昼食にします」


 そう言ってガブリエラは朝食を口に運んだ。



 新聞を読み終わると、マティアスは席を立った。


「これからお仕事ですか?」


 ガブリエラが聞くと、マティアスは気だるげに言った。


「いや、これから寝る。……今日は仕事を昼からにする。俺は、朝が弱いんだ」


 そう言ってマティアスが食堂を出て行こうとすると、玄関の扉が叩かれる音がした。リディオが玄関に向かうと、しばらく話し声がして、静かになったかと思うとリディオが食堂に戻ってきた。


「バルト伯爵に会いたいという方が表にいらしています。王室所属の騎士団の方で、名前はベルナルド・ランディーニとおっしゃるそうです」

「ベルナルド・ランディーニ!?」


 ガブリエラは大きな声を出した。


「知り合いか?」

「はい……以前夜会で会って、仲良くなりました。男女の仲ではありませんでしたけど」


 ベルナルドは、ゲームの攻略対象キャラで、現在十九歳。明るくて人望もある。脳筋キャラかと思いきや、人の本質を見抜く能力があり、前世を思い出す前のガブリエラが色目を使っても靡かなかった。


「知り合いか……見つかると厄介だな。お前、二階に隠れてろ」


 マティアスが面倒くさそうな顔でガブリエラに言う。


「そうさせてもらいます」


 そう答えると、ガブリエラは不安を抱えながら二階に上がった。


本当は食事を作るのは執事の仕事ではないですが、バルト邸には他に使用人がいないので……。

よろしければ、ブックマークやいいね等の評価をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ