表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/56

聖なる青5

よろしければ、お読み下さい。

 プリシッラがバルト邸を訪問している頃、『ジーリオ』には再びラウルが訪れていた。

「あれ?どうされたんですか、ラウルさん」

カウンターからガブリエラが聞いた。

「さっき来た時に忘れ物をしてしまって……ガブリエラ様、一つ聞いていいですか?」

ラウルが、辺りを見回しながら言った。

「何でしょう?」

「ガブリエラ様が薬師になろうとしているのは、バルト伯爵の為ですか?」

「ああ……そうですね。薬学に興味はあるのですが、マティアス様の役に立ちたいと言うのが一番の理由ですね」

「そうですか。バルト伯爵とは、どういう関係なんですか?」

ラウルは、こんなに人のゴシップに興味があったかなと思いながら、ガブリエラは答えた。

「その……恋人です」

「ふうん、僕の見立ては正しかったわけだ」


 いつもと違う口調にガブリエラは戸惑う。

「ラウルさん、どうしたんですか?……それと、忘れ物って、何を忘れたんですか?」

「無いよ、忘れ物なんて」

「え?」

「強いて言うなら……君かな」

ラウルの笑みにガブリエラは恐怖を感じた。そして同時に、店内に微かな匂いが漂っているのに気付いた。この匂いは、嗅いだ事がある。以前ロマーナがガブリエラを連れ去る際にリビングに充満していた匂いだ。つまり、催眠剤。

ガブリエラは急いで裏口のドアを開けようとしたが、カウンターから出た瞬間、後ろからラウルに拘束され、口にハンカチを当てられた。

店の奥にいるはずのロマーナの身を案じながら、ガブリエラは気を失った。


「本当にラウルがその花を買ったのか?」

マティアスが椅子から身を乗り出して聞いた。

「間違いありませんー。販売記録もありましたし、うちの従業員が覚えてましたー」

「行方不明者が出始めた時期とサントアズッロが売れ始めた時期が重なっていますし、彼が犯人である可能性は極めて高いですね」

リディオも深刻な顔で言った。

 「とにかく、『ジーリオ』に行ってみましょうー。ロマーナさんからサントアズッロについて詳しい話を聞けるかもしれませんし、ガブリエラ様の無事も確認したいですー」

「そうだな、行こう」


 三人は、『ジーリオ』に到着した。ドアに掛かっているプレートを見て、マティアスは眉根を寄せた。

「『準備中』だと?休業するとは聞いてないぞ」

 三人は無理矢理ドアを壊して店内に入った。見たところ、誰もいない。物音ひとつしない。

店の奥の調合室のドアを開けて、マティアスは目を見開いた。そこには、倒れているロマーナがいた。

「おい、大丈夫か!?」

マティアスは、ロマーナを抱き起した。

「……ん……」

呻き声を上げて、ロマーナは目を覚ました。とりあえず無事なようで、マティアスはホッとした。

「何があったんだ?」

「……わからない。気が付いたら意識を失ってたの……」

「ガブリエラは?」

「……それも、わからない。……店にいないの?」

マティアスは、全身が冷えるような感覚を覚えた。もしガブリエラがラウルに連れ去られたとしたら……。

 「……ガブリエラを探しに行く。ビアンコ、ロマーナを頼む。リディオ、俺と一緒に来てくれ」

「わかりました」

 マティアスは、リディオと一緒に店を飛び出し、ラウルの勤める新聞社に向かった。


よろしければ、ブックマークやいいね等の評価をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ