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無実の証明4

よろしければ、お読み下さい。

 マティアスとエドモンドが剣を交えている間に、次々と客達は避難していった。今広間には、剣を交えている二人の他に誰もいない。

 マティアスは、エドモンドの剣を何とか受け止めていたが、少し押されている。元々マティアスは剣術が得意ではない。スピードはあるが、技術の面で未熟なのだ。英才教育を受けたエドモンドと渡り合うのは難しい。しかも、王族のエドモンドを殺すわけにはいかない。

 マティアスの剣が弾かれ、床に落ちる。エドモンドが斬りかかろうとするが、マティアスはエドモンドの脚を引っかけて転ばせた。エドモンドが態勢を整えている間に、マティアスは剣を拾う。


 再び剣を交えながら、マティアスは思った。おかしい。聖女の話は穴だらけで、普通の状態なら彼女の話を信じる事はないだろう。ならば、まだエドモンドは麻薬の影響を受けているのか?しかし、それも考えにくい。会場には、プリシッラが用意したお香が焚いてあった。あのお香には解毒剤が含まれている。

 そもそも、聖女の無実を信じているからと言って、黒幕がマティアスだというのは話が飛躍し過ぎている。

 そして、マティアスは自分を見据えるエドモンドの目を見て察した。この男、端から聖女の話など信じていない。聖女を助ける事を口実に、自分を殺そうとしている。

 

 マティアスは、隙を突いて煙幕を出す道具を放り投げた。辺りが真っ白になる。視界が悪くなっている内に逃げたかったが、視界が悪い中でもエドモンドが的確に何度も狙ってくるので、背中を向けられない。

 エドモンドの剣を受け止めていると、急に体がぐらついた。こんな時に眩暈なんて最悪だ。ここに乗り込む前にガブリエラの血を飲ませてもらっていたのに、もう貧血になったのか。

 「調子が悪そうだな。そうだ、今から言う私の頼みを聞いてくれたら、お前の命は助けてやってもいい」

「……頼み?」

「そうだ。第一王子派に乗り換えろ。そうすれば、助けてやる」

「アッカルド子爵が殺害された件はどう収拾するおつもりですか?」

「それは、ガブリエラ嬢が犯人という事でいいだろう」

「……そういう事でしたら、お断り致します」

「そうか」


 視界が開けてきた。エドモンドの攻撃の勢いは増してくる。マティアスは、早々に決着をつけようと、一瞬の隙を突いてエドモンドの後ろに回り込んだ。そして、エドモンドを気絶させようとしたが、マティアスの身体に衝撃が走った。

 エドモンドがほぼ後ろ向きのまま、マティアスの腹部を剣で突き刺していたのだ。

「……っ!」

マティアスが苦悶の表情を浮かべる。エドモンドは振り返り、剣を引き抜いた。床に血がボトボトと落ち、マティアスは膝を突いた。

「さすがに心臓は刺せなかったか」

エドモンドはそう言うと、マティアスに近づいてとどめを刺そうとした。

 その時、誰かが広間に入って来たかと思うと、こちらの方に駆け寄り、エドモンドを思い切り蹴り飛ばした。エドモンドの身体は広間の壁に叩き付けられ、ずるりと床に座り込む形になった。

 マティアスは、その人物を見ると口角を上げて言った。

「……やっと来たか、ヨハン」

「『やっと来たか』じゃないよ。僕、大変だったんだからね」


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