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アンジェリカ・ヴァレンティ1

よろしければ、お読み下さい。

 「……ジェリカ、アンジェリカ」

アンジェリカは、呼びかけられてハッとなった。目の前には、金色のショートヘアに青い目をした、美しい男性がいる。彼は、ゲームでメインの攻略対象となっている第一王子。今は、二人でお茶を飲んでいる所だ。

「上の空だったようだが、大丈夫か?何か心配事でも?」

第一王子であるエドモンドが心配そうに聞いてきた。

「申し訳ございません、殿下。一か月後の夜会の事を考えると緊張してしまって……」

「まあ、仕方ないな。元々平民だった君は、夜会とか慣れていないだろうし。しかも、大勢の人の前で、私と君の婚約が発表される予定なんだから」


 アンジェリカは、八歳の時に、自分がゲームの世界に転生した事に気が付いた。前世での名は一ノ瀬亜里沙。

 亜里沙の人生は、幸せなものではなかった。酒を飲んでは暴力を振るう父親。亜里沙を父親から守る事もなく遊び歩いていた母親。高校生の時アルバイトをして稼いだお金も搾取された。奨学金を使い大学に通う事が出来たが、通い始めて一か月も経たない内に、交通事故で命を落とした。

 前世の記憶が蘇ってから、アンジェリカは期待に胸を膨らませた。ゲームの世界で、ヒロインは聖女の力に目覚める。それと同じように、自分も聖女の力に目覚めるのではないかと。この世界でも親に恵まれなかったが、幸せになれるのではないかと。しかし、そうはならなかった。ゲームでは、アンジェリカは十二歳の時に近所の住人の病を治して聖女の力に目覚めるが、十三歳になっても何も起こらなかった。

 冗談じゃない。両親に虐待されながら四年以上耐えてきたのに、何も良い事が無いなんて。


 ある日、酒を買うよう親に命令されたアンジェリカが苛立ちを覚えながら夜の街を歩いていると、裏路地で男二人が何か取り引きしているのを見かけた。アンジェリカは、こっそり話を聞いた。

「相変わらず高いな」

「仕方ないだろう。人を従わせたり、人の認識を変える事が出来るような代物だぜ?これでも安い方だよ」

麻薬の取り引きだった。アンジェリカはそれを見て、ゆっくりと口角を上げた。


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