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黒髪の薬師2

よろしければ、お読み下さい。

「あ、良かった。目を覚ました」

 目を開けたマティアスを見て、ガブリエラはホッとした表情をした。マティアスは、先程までガブリエラが寝ていたベッドに寝かされていた。

「君を運ぶの、大変だったんだぞ」

 ベルナルドが口を挟んだ。

「礼を言う。……今日は災難だな」

「ベルナルド様から、舞踏会での件を聞きました。大変だったのに私に血を分けようとして……あなたはいつも、他人の為に無茶をするんですから」

「悪かった。でも……お前が無事で、本当に良かった」

 マティアスは、優しく微笑んだ。

「来て下さって、ありがとうございます。……まだ調子が悪いでしょう?私の血を吸って下さい」

 そう言って、ガブリエラはベッドの傍らに腰を掛けた。

 マティアスは、ゆっくり上半身を起こすと、「お前も薬を吸ってるから、今日は少しだけな」と言って、ガブリエラの首筋に牙を食い込ませた。

 血を吸い終わった所で、ロマーナが口を開いた。

「……どうして?どうして優しいの?マティアス・バルトは、利己的な人間のはずなのに……」


 ロマーナは、物心ついた時から母親のイデアと二人暮らしだった。父親は、ロマーナが生まれて間もない頃に病気で亡くなったらしい。

 イデアは薬学に精通していて、商人に薬を卸したりして生計を立てていた。慎ましいながらも、ロマーナと二人で幸せな日々を送っていた。

 そんなある日、イデアは店に薬を買いに来たクリストフ・バルトや妻のエミーリアと仲良くなった。クリストフは、度々自分の事を、合理的だが性格が悪い人間だと言っていた。でも、実際は貧しい人に援助したりする優しい人間だった。エミーリアも、のほほんとした表情をしながら、そんな夫に従っていた。

 そして、家族ぐるみの付き合いが始まった為、ロマーナとマティアスが出会う事となった。同い年という事もあり、何回か一緒に遊んだ。ロマーナが薬草について長々と話をしても、マティアスは面倒がらずに聞いてくれた。その内、イデアとロマーナは、バルト一家がヴァンパイアだという事に気付いたが、気付いた後も変わらず付き合っていた。


 ロマーナが六歳の時、ある病が流行した。イデアの店には、患者やその家族が殺到した。ある夜、閉店直前の店に一人の男がやって来た。店には、イデアとロマーナしかいなかった。

「家族が流行り病に罹ったんだ。頼む、薬を売ってくれ」

「……ごめんなさい、流行り病の薬は売り切れたんです」

「そんな……おい、そこの棚にある瓶は何だ。薬が入ってるんじゃないのか?」

「これは、流行り病とは違う病気に効く薬です。それに、危険な副作用が現れる可能性があります。売る事は出来ません」

「うるさい!とっとと寄こせ!」

男は、追い詰められていた。男は猟銃を取り出すと、イデアに向けて発砲した。銃弾は、イデアの腹部を貫通した。そして、男はもう一発撃ったが、狙いが外れたのか、銃弾は近くにいたロマーナの腹部を貫通した。

 「ロマーナ……!」

イデアとロマーナは、床に倒れ込んだ。

 その時、「何やってるんだ!」という声と共に、店のドアが開かれた。慌てて店に入ってきたのは、バルト一家。皆の顔を見ながら、ロマーナは気を失った。


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