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目撃と契約1

妄想を書き連ねただけのような小説ですが、読んで頂けると幸いです。

カクヨムにも掲載しています。

 ある夜、ガブリエラ・サヴィーニは馬車に揺られていた。ガブリエラは伯爵家の娘で、現在十七歳。主に貴族の子供が通う学園に通っている。まだ学生の身分だが、あちこちで男性に色目を使っており、女生徒には嫌われている。


 ガブリエラは、馬車の中で手鏡を取った。ウェーブがかった赤く長い髪。少しつり上がっているがぱっちりした目。色白の肌。鏡の中に映っているのは、文句なしの美女。ガブリエラは、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


 これから、ガブリエラは貴族が集まる夜会に出席する予定だ。今度はどんな男性と遊ぼうか考えていると、馬車の隙間から見覚えのある姿を見つけた。

 近くの橋にいるのは、同じ学園に通うアンジェリカ・ヴァレンティ。栗色のボブカットが良く似合う。

彼女は元々平民だが、平民ながら学園に通えているのは、聖女の力を持っているからだ。人々を癒す能力があると言われ、子爵の位を持つヴァレンティ家に養子に迎えられた。


「止めて頂戴」


 ガブリエラは馬車を止めると、降りてアンジェリカの方に近づいて行った。

 ガブリエラは、平民の癖に皆にチヤホヤされているアンジェリカが普段から気に食わなかった。何か嫌味の一つでも言ってやろうと思ったのだ。


 よく見ると、アンジェリカの側にもう一人、若い男性がいた。逢引き? いや、純潔が求められる聖女に限ってまさかねと思っていると、アンジェリカが懐から何かを取り出した。どうやら、小さい拳銃のようだ。

 そして、アンジェリカは銃口を男性に向け――引き金を引いた。

 男性は、その場に崩れ落ちる。


「ひっ」


 ガブリエラは、つい声を出してしまった。アンジェリカが、こちらの方を向く。そして、苦虫を嚙み潰したような顔で舌打ちをすると、言った。


「悪役令嬢じゃない。何でこんな所に居合わせるのよ」


 アンジェリカが、こちらの方に銃口を向けた。小さな銃声がしたかと思うと、次の瞬間ガブリエラの左肩に痛みが走る。見ると、ガブリエラの肩からは血が流れていた。

 ガブリエラはふらつくと、橋から川の中に落ちていった。


 水の中で、走馬灯のように過去の思い出が蘇ってきた。その中で、見た事がないはずの黒髪の人達が浮かんでくる。服装も、この国では見られないものだった。


 ガブリエラは、思い出した。自分は以前、二宮灯里(にのみやあかり)という二十四歳の料理人だった事を。記憶を辿っていくと、灯里は交通事故に遭ったらしい。どうやら、死んでガブリエラとして転生したようだ。


 よく考えると、この世界は、灯里が生前にやり込んでいた乙女ゲーム、『赤い世界に祝福を』に似ている。このゲームは、ヒロインのアンジェリカが、人々に悪さをするヴァンパイアを、攻略対象達と共に退治するストーリーだったはず。そしてガブリエラは、攻略対象とアンジェリカの恋を邪魔する悪役令嬢。


 どうして聖女であるアンジェリカがあんな事を。どうして私がこんな目に遭っているのか。そんな事を考えながら、ガブリエラの意識は遠のいていった。


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