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ケイジー・ストレイト・アヘッド  作者: 刀根 貴史
19/19

ライブ後の部会は正直嫌でした。

「ふざけんな!!特にD年!お前ら、もうちょっとまともなライブ作れよ!!」


 奥井さんの怒号

 

 ステージ機材を部室まで上げて、椅子は旧学生会館の倉庫に片付ける。


 全部終わったら、部室で部会。


 こんなにも真上から、信じられないくらいの怒りでご指導を頂くことは、なかなかない。


 文化系だと舐めていた薄らデカ男は高校時代の怖い怖いと思っていたラグビー部先輩なんて可愛いもんだったんだと昔を懐かしんでいた。


 リハーサルでソロマイクを使わずに曲を止めた進行ヤーボ、NGなのがマイクかシールドかに気付けないPAヤーボが怒られて、それをきっかけに全部のヤーボが怒られる。


 こんなの、みんな嫌になっちゃんじゃないの……?

 

 幹部(E年)さんたちが順番に怒って、部室外のFねんさんも怒っていた。


 ステージ運営はCD年の役目で、リハも本番も失敗したのもCD年ではありますが………


 もうこれ以上言う事無いだろ…と言うくらい怒られて、それでもまだ怒りのマイクは先輩から先輩に回された。


「みんな、今日はありがとう…」


 …なんだかホッとする言葉だった。部室の外で、CD年に向かって怒るでも悲しむでもなく、ただただ普通に問いかけるように話していたのは、チャリオのアルトサックス、澤田さん、F年さんだった。


「みんな怒ってるのに、俺だけありがとうとか言うと格好つけてるみたいになるからバンドメンバーには申し訳ないなと。

 ただ、一言お礼は言いたくて。と言うのも、俺自身はF年でやっとチャリオに入れて、それまで他のバンドも何個かやらせてもらったけど、テープ審査も通った事なくて、F年になってやっとチャリオに入れて。

 オリテン(オリエンテーションコンサート)はちゃんとテープ審査があって、メンバーは審査に通過して当然って感じの慣れた人も多かったけど、正直俺は録音の時、心臓バクバクしてた。

 なんか自信もないからちょっと小さい音で吹いてたら沢入にバレてて『もっと吹いて』とか言われて。今度はしっかり吹いたテイクはなんか沢入が首傾げて…なんかこう、こう、なんて言うか、ステージに立てるのは当たり前じゃないことはわかってるつもり。

 だから、テープ審査通してくれたバンドメンバーにも、ステージ外ヤーボも含めてみんなでステージ作ってくれたCD年にも、まずはありがとうと思って。ただ、今日はちょっと残念だったなとは少し思って…。俺たちもCD年の頃、同じようなことしたかな?とか考えながら。

 今年のF年ってここまでにテープ審査通らなくてステージ立ったことない奴が結構いて、この前そんな奴らばっかり集まって竹久たけきゅうで飲んでたらそこに偶然影月が来て、お前みたいにC年の頃からプラザ(のステージ)出てるやつは仲間外れなんだけどなとか言いながら飲んでた。

 

 そしたら影月が『今年のF年は、全員何かのバンドでテープ審査通過しよう』って言ってくれて。


 俺以外のやつも、なんとかテープ審査通ろうと思って必死に練習とかしてます。それで、テープ審査通って初ステージの時は、どうか今日みたいな軽音ライブじゃなくて、バシッとしたステージに立たせてやってほしいなって思ってます…。言い過ぎ?かな?」


 なんとなく、先輩達が怒っていた理由がわかった気がした。

 

 失敗しましたが勘弁してください。そんな考え方をしていた自分が少し格好悪く感じたライブ初日だった。


 次回:大宴会 軽音コンパ


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