オリエンテーションコンサート Part3
関学文総軽音の転換は「5分」が鉄則。
ドラムセット、キーボードを入れ替えて…って普通このあたりの機材は据え置き。でも文総軽音は駄目。出演者専用の機材に転換する。
ドラムヤーボは、まず各太鼓に当てられたマイクを太鼓から離して1バンド目のドラムを舞台袖にはける。マイクを処理してる間に別のドラムヤーボが次のバンドのドラムセットを近くまで運んでくる。1バンド目のドラムをはける動作と次のバンドのドラムを置く動作は同時に。
1バンド目のドラムをはけたドラムヤーボはそのまま次のバンドのドラムにマイクを当てる作業に戻る。
ドラムをセットし終えたら、各太鼓の高さ・細かい位置・向き、更に出演者の椅子の高さもドラムヤーボが調整する。
モニターチェック。ドラム横のモニターに音がかえっているかを確認してドラムの転換完了。
これを5分でやる。
キーボードヤーボは、まず1バンド目のキーボードを全てはける。ベジブルはキーボード4台使用の転換きつめのバンド。キーボードがはけたら次のバンドのキーボード…チャリオ(ビッグバンド)のキーボードはピアノキーボード1台…良かったあ。5分は楽勝。これがヤーボ格差。まあ、バンドのタイプによるけど。
ギターとベースはアンプヤーボ。ギーアン(ギターアンプ)はマーシャルからヤマハに。アンプにマイクをセッティング。ギターとエフェクターを次の出演者用に。と言ってもチャリオのギターにエフェクターは無し。アコースティックギターにプラグを指して、そのシールドをヤマハに。
ベースはフェンダーのアンプを下げて、チャリオのベースにアンプは無し。ウッベ(ウッドベース)が登場。デカい。
直接ウッベにマイクを当ててセッティング完了。
さあ、こうしてる間に舞台上手側(客席から向かって右側ですね。)では大騒動。
まずステージの上手側半分の機材は移動。そこにトランペット隊とトロンボーン隊のためのひな壇をセッティング。トロンボーンは更に椅子をセッティング。ひな壇前にはサックス隊の椅子をセッティング。トランペットに5本のマイク、トロンボーンに4本のマイク、サックスに5本のマイクをセッティング。さっきのバンドのヴォーカルマイクはチャリオではソロマイクに。
これは、主に照警(照明警備ヤーボ)の仕事。
「おい!マイクスタンド2本だけ運ぶとかしてたら時間なくなるぞ!!」
まあですね、ずーっと音楽してきた人というか、文化系とか一括りにするのも違うのですが、それなりに華奢な人も多いんですよね。で、華奢な照警ヤーボも結構いるんすよね。
「奏汰みたいに、椅子8脚とか、ひな壇一人持ちとかまでは出来なくてもいいけど…」
残念ながら、転換を5分で完了することは出来ない。が、セッティングが完了した楽器からサウンドチェックはできる。
「ドラム、セットで行きます!」
ベジブルみたいなR&Bのドラムと、Big Band Jazzのドラムはそもそもの音の雰囲気が違う。というか、プライヤー自身が太鼓一つ一つのチューニングをして、そのジャンル、曲の雰囲気に合う音を作るのだ。つまり、本来は転換後、太鼓一つ一つのサウンドチェックが必要なのだが、何しろ時間が無い。PAチーフはドラムセット一式の音でサウンドを作ることになる。
坪内さんのDrumサウンドは、音が作りやすいらしいと後で聞いた。太鼓一つの一つの粒がしっかりしていて、よく楽器が「鳴っている」。
「奏汰!ボーっとすんな!」
進行ヤーボ 中澤さんにガチギレされて、仕事に戻る。
ピアノ、ギター、ベースのサウンドチェックが終わるころ、トランペット5本のセッティング完了。
「(中澤)裕也!パートで!」
宮村さんから中澤さんに指示。マイク一本一本を確認することは時間の都合上できないので、各パート全体でサウンドチェック。宮村さんはそれぞれのマイクのイコライジング(音質調整)と、5本の音量バランスを調整する。トロンボーン、サックスも同じようにチェックして、最後にソロマイクの音作り・・・でチャリオのサウンドチェック完了。
AM 10:48
あと2分でチャペルタイム終わりですけど・・・・
「一曲目行こう!」
コンマス 沢入さんから指示が出る前に既に坪内さんがハイハットを踏んでリズムを刻んでいた。
「曲行きまー・・」
中澤さんがいうよりも前にチャリオの演奏が始まり、2限で運動場に向かう人や次の教室に向かう人も足を止めた。
「止めてくださーい!」
中澤さんの合図で演奏が止まった時だった。
「ふざけんな!」
坪内さんが叫んだ!
「ソロ直前だぞ!てめえ!」
「すみません!」
「4曲目行こう!」
沢入さんからの指示で再び演奏開始。この時、ステージから理学部側に見える、プラザ端の時計の針は既に10:53を指していた。
4曲目は「Moment’s Notice」 全楽器が一斉に演奏を始める曲。ただ、始まった瞬間、メインスピーカからの音は無くなって、ドラムと管楽器とウッドベースの生音だけになった。宮村さんがメイン卓で音を止めたのだ。
振り向くと学生会館から学院職員が出て来て、すぐに演奏を止めるように言っていた。「ここでコンサートできなくなるぞ」と聞こえた。
「止めてくださーい!」
中澤さんが大きく手を降っていたけど、先輩たちは誰も中澤さんの方を見なかった。
AM 11:00
「中澤!ソロ含めたリハは!?!何考えて曲止めた!ふざけんな!」
坪内さんの本気の怒りを見て、足が動かないのが分かった。
こんなものはリハとは言わないと。プラザ出演のチャリオでリハの時間が取れないことは誰もが分かっている。だからこそ、最低限のサウンドチェックができるようにするのが進行ヤーボの役目だと、なんだかそんなことを坪内さんは叫び・・・。
ただし、授業が始まった今となっては、バンド全体の音どころか、ある程度纏まった音を出しただけで学生会館から別の職員が登場することになる。
メインスピーカの音作りもまともにできず、モニターからでる音も何も作れないまま、リハーサルは失敗・・・ということになる。
次回、いざ、本番!




