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第60話「実力順位制度」

 「あと話さなくちゃいけないのは、学園のことと、実力テストのことです。まずは学校の方から」


 クラ先生が、チョークを走らせ始めた。


 「この学園は、まだ設立して三十年と経っていない、比較的新しい学園です」


 そう言いながら、なにやら三角形を書いていく。


 「だから、というわけではないですが、この学園は外部の階級は一切の関係を持ち込ませず、完全なる実力至上主義の学園となっています」


 ユナが、ギルドで冒険者になったときと似たような図、三角形に横線が入った図が描かれる。

 たしか、階位(ランク)の構造を説明されたときのものだ。あのときはたくさんの線が引かれていたが、今回、三角の内側に引かれている線は二本だった。


 「ギルドの階位(ランク)制度をベースにした、実力順位制度ですね」


 そう言って、三角形の下、一番面積が多いところをチョークで()す。

 ユナは、きっとあそこが自分のクラスはあそこに入っているのだと思った。だがどうして、ふと、思い出したのだ。一番(いちばん)一番(もっとも)すごいと思っていたが、実際には逆だったことを。


 「今年は、一組から八組までの、八クラスが下位、九組から十二組の、四クラスが中位。そして、ここ」


 チョークで、三つに分けられた三角の一番上を指す。


 「上位クラス。こちらは十三組のみとなっています。つまり、このクラスは最も実力のあるクラスとなります」


 勝ち誇るような声や、フッとドヤ顔をするもの、当然だと落ち着いたままのもの、様々ではあるが、最も実力があると言われて嬉しくないものはいないであろう。

 一方で、ユナは嬉しい気持ちと、戸惑いの気持ちがあった。実力を見たというのなら、きっと先の試験でのことだろう。だが、ユナは逃げて逃げて、逃げていただけだ。それで実力が最もあるクラスというのは、一体どういうことなのだろうか。


 「ですが、最も実力があるといっても、これは入学試験のもの。そして、一年のみのものとなります」


 そのクラ先生の発言で、場は静まり返った。


 「二年は全部で、十クラス。三年は、八クラス。そのうち、戦闘系の専攻のクラスは八クラスと六クラスなので、全体では二十七(27)クラス。その全員と、実力を競い合うのが、実力テストとなります」


 内部進学生の人たちは知っていたのか、落ち着いていたが、それ以外の生徒は驚いた様子のものも多かった。ユナも驚いた側の一人だ。


 「あなたたちは、十三組、最も実力のあるものとして、恥のない成績を残していただきたいと思っています」


 そう言った先生の目は真っすぐだった。必ず、そうさせてみせると信じているように。クラ先生は穏やかそうに見えて、その(じつ)、芯のある人に見えた。


 「実力順位制度、学生たちは学園ランキングなどと呼んでいるようですが、これは年三回、期末ごとに行われます。その順位に応じて、指導内容、奨学金の対象者、個室の割り当て、来年のクラス、そしてひいては、進路が変わってくるわけです」


 ユナにとって、聞き捨てならない単語が出た。それは。


 「個室…!!」


 思わず声にもれる。


 「ですが、そんな実力テストを未経験で受けるのは不利です。そのため、一年の一番最初は、一年生のみでの実力テストを行うというわけですね。ここでも、もちろん順位は付きます。仮ではありますが」


 そう言いながら、クラ先生が教卓から何かを取り出した。

 たくさんの手帳だった。ちょうどユナの手のひらに乗りそうな、小さな手帳。


 「これが、そんな順位も記載することになる、生徒手帳になります。名前を呼ぶので取りに来てください」


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