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第59話「次のお話」

 「ありがとうございます。では次、ランカさんお願いします」


 先生のコメントがないことにも地味にダメージを受けるユナだった。


 「…ぐぅ…」


 「ランカさん?…寝てますね…。ユナさん、起こしてもらえますか?」


 「えっ?あ!はいっ!」


 恥ずかしくて俯いていたユナだったが、呼ばれて慌てて返事をして、後ろのランカを起こす。


 「えっと、ランカさん?次、順番ですよ」


 そう言いながら、ユサユサと肩をゆする。だが、なかなか起きる気配はなく、教室の視線が集まり始め、ユナは背筋に妙な汗をかき始めた。


 「ランカさん、ランカさん!」


 (うぅー泣きそう…ふうちゃん…るーちゃん…!!)


 早く個室を手に入れて、いつでも思う存分にモフれる環境にするんだ。ユナは、そう現実逃避することでギリギリ視線に耐えていた。


 「…ンッ、うう~ん………ん?」


 肩がピクンと震え、ランカが声を漏らした。


 「起きた!?ランカさん!自己紹介ですよ!」


 「んあっ!え、あー……」


 机にうつ伏せだったランカは、体を起こして、(よだれ)をゴシゴシ拭きながら、寝惚け眼(ねぼけまなこ)をシパシパと瞬かせながら、何とか立ち上がった。


 「ふぅ…」


 やっと無事に起こせて、ユナは緊張がほどけた。


 「うーーーんっ…!!!…らんかはね。らんか。………あとなんだっけ?」


 ロクに他の人の自己紹介を聞いていなかったランカは、何を話せばいいのかわからず、ユナの肩を叩きながら問いかけた。


 「え、ーーっと、好きなものとか?」


 驚いたユナだったが、咄嗟(とっさ)に自分が話した内容を思い出して答えられた。


 「好きなもの?お昼寝!!」


 「それはたぶん、皆さん知ってますね」


 思わずツッコんでしまうクラ先生だった。


 「みんなよろしくねー」


 そのツッコミも気にした様子もなく、そのまま自己紹介を終えたランカだった。


 「はい、ありがとうございます。寝ないでくださいね?」


 「ん、…えへへ」


 座るなり机にうつぶせになろうとしたランカを、すかさずクラ先生が(たしな)める。ランカは、それになぜか照れた様子で返事をし、なんとかうつ伏せにならなかった。


 「次、リンさん、お願いします」


 「はい」


 それは、澄み渡るような、その名の通り、(りん)とした声だった。長い黒髪が印象的な、整った顔立ちの女の人が立ち上がる。


 「リンって言います。魔術学が学びたくて、遅ればせながら入学しました。至らぬところもありますが、ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほど、よろしくお願いします」


 それなりに本を読んできたユナでもあまり聞いたことのないような、小難しい言葉だった。遅ればせながらということは、内部進学が七歳で中等部に入ることを考えると、それよりも年上なのだろう。落ち着いた物腰や、丁寧な話し方のせいでだいぶ大人びて見えるが、表情にはまだ幼い影が見える。

 ユナには年上のお姉さんかな、ぐらいにしかわからなかった。


 「魔術学とは、嬉しいですね。きっと他の先生方も喜ぶと思います。では最後、ロントさん。よろしくお願いします」


 「はいはーい!」


 「はいは一回!」


 イルマが注意する。自己紹介の時に双子から煽られていた、学級委員をやりたがっていたこだ。


 「むーー!「「はぁぁぁああああいっっ!!!!!」」


 注意されたことにムッとしたロントは、ムントと息を合わせて、大きな一回の”はい”を叫んだ。


 「うるさーーい!!!」


 「やーいやーい怒ったー!!」


 「…こほん。イルマさんもムントさんも、ロントさんも、お静かに」


 「うっ、あなたたちのせいで怒られたじゃないの!!」


 「イルマのせいだもーん」


 「お二人とも?」


 クラ先生に制されて、イルマはおとなしく引き下がった。ロントは顔だけで”やーいやーい”とからかっていた。


 「僕はロント!さっきの「ムント」と「双子なんだ!」」


 先ほどと同じように、息ぴったりに掛け合いながら自己紹介をした。改めて聞いても感心するような流暢さだった。


 「うーん。連弾(れんだん)はさっき見せちゃったしなー」


 連弾というのは、一文字ずつ交互に連続して言い合うあの技のことだろうか。


 「他には…?」


 そう言いながら、沈黙してしまうロント。ムントの方を向いている。ムントもロントの方を向いていた。

 なにかを示し合わせているのか、しばらくして、なぜかロントの表情がちょっと歪んで、また話し始めた。


 「まあいいや!またみんなをビックリさせるもん!みんなよろしくねーっ!」


 そう言って元気に自己紹介は終わった。


 「はい、ありがとうございます。皆さん自己紹介お疲れ様でした。ですが、もう少し話が続くので、引き続き集中していてくださいね」


 そう言ってチョークを手に取り、説明を始めた。


 「あと話さなくちゃいけないのは、学園のことと、実力テストのことです。まずは学校の方から」


 クラ先生が、チョークを走らせ始めた。


ちょっと自己紹介に時間かけすぎましたね。

名前順で一覧を置いておきます。


・アキラ

・アラタ

・イツツ

・イルマ・ヘプルブルゼッタ

・ウル・リーザロッテ

・キオラ・ランドロード

・クラッソ・カノッソス

・ググリ・ゴゴロ

・コルト

・トリキッシュ

・ノーラ

・パティモ

・フォーロ

・ムント

・メイゲツ

・モモ・イディオード

・ユナ

・ランカ

・リン

・ロント

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