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第38話「咆哮の行方」

リコリコ最終話と被せてすいません。今日の更新もよろしくお願いします!


 時は少し(さかのぼ)り、ユナとふうちゃんが改めてサリナを探し始めたころ。


 「ところで、るーちゃんはどこにいるの?」


 「ホウ?」


 「なんかね、契約の繋がりが感じにくくて…」


 「ホウホウ?」


 「そっか!探知と同時だからか!試してみるね」


 ユナは、ふうちゃんの言っていることがわかったようだ。

 発動させっぱなしだった魔素探知を一度やめて、【モンスターテイマー】の契約のほうに集中する。


 「ホウ!」


 繋がりを感じたのか、ふうちゃんが返事をした。


 「だね!」 


 やはり、魔素探知と同時にだと難しいよう。ユナはそのまま、るーちゃんを見つけるために徐々に徐々に感覚を広げていく。探知の範囲のその向こう。


 「いた!あっち!」


 ふうちゃんをぺちぺちと叩いて、るーちゃんを感じたほうを指さす。


 「ホウ!」


 ユナを乗せたふうちゃんは、その方向へと進みだした。



ーーー



 「あれ?」


 それはあと少しで、るーちゃんが探知の範囲に入るんじゃないかという距離まで進んだところでの出来事だった。

 ユナが探知とるーちゃんの居場所とを交互に試しながら進んでいると、なにやら人間が引っかかった気がした。


 「ふうちゃん止まって!」


 「ホウ!」


 ふうちゃんも、ユナを乗せ続けてさすがに疲れてきたのか、ホバリングで空中にとどまるのではなく、滑空して近場の木へと降り立った。


 「わわっ」


 乗ってるときは真横だが、木の枝にとまったことで縦の姿勢になったふうちゃんの背中で、思いがけず落ちそうになるユナだったが、きちんと羽根の付け根をつかんでこらえた。


 「ホウ…」


 「ううん!大丈夫!」


 申し訳なさそうにしているふうちゃんに、ユナはきちんとお返事をしておく。


 「なんか人間が引っかかった気がしてね。まだ慣れてなくて、ちょっと待ってね」


 「ホウ」


 ふうちゃんは少し前かがみ、ユナが座りやすい姿勢になった。お詫びの気持ちだろうか。


 「うーん…。あっ!なんか、わかるやつかも!師匠…ではないような…でも4つあるし…」


 「ホウホウ」


 「あ!なんか増えた!あ!あっ!!!」


 驚いているユナの感情に左右されたのか、ふうちゃんは思わず飛び上がって、辺りを見回す。


 「あっち!レンが!レンが危ない!!」


 その人間の探知に、どの人間か(・・・・)の確証は無かった。だが、先ほどのパーティー壊滅の様子を見たユナに、もし知ってる人だったらという恐怖に、誰かを見定める余裕などなかった。

 誰か、会ったことがある人な気がする。そんな曖昧な感覚でレンだと決めつけ、ふうちゃんをせかした。


 「ホウ!」


 探知の範囲の隅っこにるーちゃんが入るが、人間の探知に集中しているユナは気が付かない。

 ユナのその慌てように応じるように、ふうちゃんは翼をはためかせ、その人間のほうへと向かう。

 果たして、その人間はレンで合っていた。


 「おしゃべりが過ぎる!くるぞ!」


 誰か知らない人の声がユナの耳に届く。ついにその視界にも捉えた。


 「グッ!!ッラア!!」


 「ハッ!!」


 敵とレンとがぶつかって、お互いの声が響き渡る。それを見たユナは、人間の探知から、魔物の探知へと切り替える。


 「レン…!!!!」


 買い物の時に付けた愛称の”レンレン”で呼ぶようになって久しいのにも関わらず、それすらどこかに消えてしまうような、そんな状況だった。

 師匠であるサリナですら、一匹から逃げるのに手間取っていたのに、レンたちのパーティーは十匹以上の群れに囲まれていたのだ。


 (レン…!!レン…!!!!)


 焦りが止まらない。せっかく、この場所にいるのに、どうすればいいのかが思いつかない。今見ていた攻撃は、何とかパーティーの四人で(しの)いだようだった。だが、すぐに次の攻撃へと変わる。数匹ずつ、代わる代わる攻撃して相手を休ませないかのように。あまりに連携が取れすぎていた。

 このままでは、さっきと同じ光景になる。そう、さっき見た、あの、鎧だけが残るような、動かない探知の点。動かなくなる、その直前の景色。

 その気持ちは、思わず声に出る!


 「レン!!!!」


 「アオーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!」


 ユナの感情の爆発に、声が響き渡るのと同時に、その咆哮は木霊する。


 「アオーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!」


 立て続けに鳴り響く。


 すると、その魔物たちは、レンとぶつかる直前で足を止めた。


 「るーちゃんだ!!」


 ユナは、その咆哮の主が自分と契約した大切な友達であるるーちゃんであることが一瞬で分かった。


 「ホウ!!」


 ふうちゃんも当然のごとくわかったようだった。

 ただ、不思議だったのは、今まさに襲わんとしていたバウハウンド(?)たちも同じようなリアクションをしていたことだ。まるでボスに突然呼び出されたかのように、その声に聞き入って立ち止まっていた。


 咆哮ののち静まり返った場に、レンの声が通り抜ける。


 「あれは?あの時と同じ…」


 「やばっ!!ふうちゃん!!」


 ユナはレンの探知に引っかかった感覚を感じた。戦闘のために近場で集中させていたのが本来の範囲に戻ったのだろうか。ふうちゃんと、魔物と一緒にいることがバレてしまう。ユナは慌ててふうちゃんを叩いて離れるよう促す。

 その探知と時を同じくして、バウハウンド(?)の群れが、るーちゃんのほうへと駆け出した。


 「え、え!」


 「ホウ!!!」


 レンの探知に慌てている最中、ユナはるーちゃんの鳴き声が一瞬の足止めだと思っていたのに、るーちゃんの元へ向かうバウハウンド(?)の群れを見て、るーちゃんが、るーちゃんがと慌てふためいてしまった。

 だが、そこは流石のふうちゃんで、そのバウハウンド(?)を追い越さんと方向を変え、るーちゃんのほうへと一直線に飛んでいく。


 「るーちゃん!!」


 レンの次は、るーちゃんの元へと急ぐユナ。レンの探知に引っかかったことは、もう思考の果てに吹き飛んでいた。


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