第3話「紛い物」
まだ小説家になろうの使い方よくわかってないですけど、頑張ります。
「君、面白いね」
”それ”は”私”と同い年ぐらいの、少年とも少女ともわからない風貌で、やんちゃなのか無邪気なのか、狡猾なのかわかりかねるような、そんないやらしい顔をしていた。
「底まで来るなんて」
そして訝しむ様に私を見つめる。
「でも、死ぬほどつまらない」
「!?」
”私”はひどく驚いた。同い年にしか見えない”それ”に、そんなことを言われる筋合いなんてない!しかもこんな神秘的な石像の頭の上に立つなんて、罰当たりな!
だが、とっさに言葉はでない。
「”それ”だなんて失礼な。お前、僕の姿がはっきり見えてるくせにこの神々しさがわからないとは」
姿がはっきり見える?まるで普通は見えないような…
そこでハッとする。”ふうちゃん”と”るーちゃん”が、ついてきていない。
バッと後ろを振り返ると、湖の縁にいた。”ふうちゃん”や”るーちゃん”は、”それ”がいる方向をにらみつけ、警戒はしているものの、どこにいるのか測りかねて、必死に匂いを嗅いだり、眼を小刻みに右に左に動かして探っていた。
「もしかして、見えてないの?」
「そんな魔素畜生どもに、見えるわけがないだろう。その湖を歩くということは、そういうことだからな」
「…」
「こちらには返事もなしか」
「お前のスキル、モンスターテイマーだろう」
「!?!?」
「やはりか、つまらん。そんなの連れてたら誰だってわかるは阿呆」
”ふうちゃん”と”るーちゃん”を見ながら、”私”は考える。モンスターテイマーということがバレたからには、逃げるか、もう、ころーーー
「バカめ!お前のようなガキが!!殺そうなどと!!分不相応にもほどがある!!」
鬼のような形相になった”その子”は年齢に似つかわしくない気迫で、こちらをにらみつける。思わずビクッと肩が震える。
「”その子”か、まあいいだろう」
「!?!?!?」
もしかして思考が読まれているのだろうか。
「当然だ。僕はそういう存在だし、そうでなくとも、君の魔素はダダ漏れだからな」
石像の上からすっと飛び降りた”その子”は音もさせずに着地する。私のおうちの屋根と同じくらいの高さはあるのに。
「君、名はなんという」
「…ユナ」
「ユナ、か。ユナ、じゃあ君は何者だ?」
「私は、」
そこで言葉が詰まる。ユナは考える。私はいったい何者なのか。それは、あの日あの教会で信託を受け、告げられた…。
「私は、モンスターテイ…」
「たわけ!!」
遮られるように怒鳴られる。
「それはたかが【スキル】だろう!!つまらんつまらんつまらん!!!」
「お前のようなものが、お前のような!お前がッッッ!!!!!!」
それは、怒っているようなふりをして、どこか悲しさを叫ぶようにも聞こえた。
「お前のようなものに背負わせるなど!!!!!!!」
パアンッ!!!!!
「あ…」
ユナは気に中てられて、白目をむき、膝から崩れ落ち、気絶した。
ーーー
あたたかい。
穏やかな日差し、爽やかな香り、キラキラと輝いている、夢。
そして、ぺろ。
ぺろ?
ぺろぺろ、ペロペロ、ペロペロペロペロ…
「うぅ~ん…」
夢から覚める。顔がびちょびちょだった。
「起きたか、ユナ」
眼を開けると、こちらを見下ろす顔があった。
「すまない、この姿だとどうも感情のコントロールがうまくいかなくてな」
ペロペロの正体は”るうちゃん”だった。まだペロペロしている。
「もう大丈夫だからるうちゃん…」
顔を拭いながら起き上がり、”るうちゃん”を撫でる。どうやら”その子”が膝枕してくれていたみたいだ。
「私は…」
「ああ、何が起こったかわからないよな。僕が感情をコントロールし損ねて、魔素を暴発させてしまったんだ。それにじかに中てられて、気を失ってしまったんだよ」
「そうなの。膝枕は?」
「それはその、悪いと思って」
初めて外見相応に照れている姿を見た気がした。
「ありがとう」
頭を撫でながら、そう感謝を告げる。
「そんな、僕のせいなのに、本当にすまない…。だがなぜ頭を撫でる?」
なぜって
「感謝するときは頭を撫でるものでしょう?」
「そういうもんなのか?」
「うん」
「そうか」
ここには正解がわかるものはいなかった。
「ところで、あなたは誰?」
「僕か?」
「うん」
「そうだな…」
それから、”その子”はしばらく悩んでいた。だが、ひねり出したように答えた。
「神様のまがい物、偽神様とでも読んでくれ」
ここまでアニメにしたら2分とかなんですかね…物語はまだ始まったばかり。