第24話「ロートートル」
「レンレン?今はどこに向かってるの?」
ユナが晴れてメンバーカードを手に入れてから数日後、一行は装備を整え、狩りに出発していた。
冒険者の仕事は主に2つ。
1つは、ギルドを経由して依頼を受け、それを達成するか。
もう1つは、魔物を倒し、その魔石や素材で報酬を得るか。
「湿地帯だよ。ユナちゃんにはそこで、初心者向けの魔物を倒してもらうんだ」
「魔物…」
「冒険者になって、階位を上げたいなら、魔物は絶対に倒せるようにならないといけない」
「うん」
「生き物の形をしているから、最初は倒すのが怖いとか、苦手って人が多いんだ。まずはそこに慣れてもらう。まあ生き物を殺すのとは違うから、最初くらいは軽い気持ちで、慣れていこうか」
「うん」
ユナの頭の中では、どうしても、魔物だって生きている。
それをどうにも呑み込めず、単調な返事しか返せないユナだった。
それをレンもサリナも訝しんではいたが、緊張しているのだろうと疑問を飲み込んで、目的の場所へと歩みを進めた。
ーーー
「いたよ。あれがロートートル。亀の形をした魔物だ」
わかる。ユナにはあれが普通の動物ではなく、魔物だということが。
だが、普通の人にとってはどうなのだろう。
「あれが魔物ってどうしてわかるの?」
「基本的には身体的な特徴だな。まず、魔物は必ず目が赤い。そのせいで普通の目が赤い動物を絶滅させたって話もあるくらい、赤い目は危険の象徴だな。あとは魔物図録を見て、特徴を覚える。ちなみに俺っちは合わせて【気配探知】も使ってるから、そういう探知系をパーティーに加えるのも手だ」
「ロートートルはすっごいトゲトゲだけど、普通の亀はトゲトゲのやつはいないの?」
「いや、いるんじゃないか?」
「え、じゃあ赤い目かどうか、わかるまで待つの?」
「うーん、俺っちは探知で判断しちゃうからなー。ソロで探知持ってないサリナはどうやってんだ?」
レンがサリナに話を振る。
「俺か?そうだな、まあバレないのが基本だが、もしバレた上で確認するとしたら、血が出るか、かな」
「まあそうなるよね。魔核照晶は?」
レンがとある魔道具の名前を言う。
「そんなたけーもん、俺がもってるわけねーだろ」
「だよね」
「まかくしょうしょう?って?」
ユナの疑問に対して、先に答えたのはサリナだった。
「バカたけー魔物を識別する水晶のことだ。魔物には魔核っつー、所謂心臓があるんだが、それにだけ反応する特別な水晶があるんだ。それ自体も何かの魔核だって噂のある魔道具なんだが、使ってるやつなんか見たことないね」
「レンレンも?」
「そうだなー、どっか博物館で展示してるとか、国王が持ってるとかの噂は聞くけど、本の挿絵でしか見たことはないなー」
「ふーん」
ユナは、るーちゃんとふうちゃんが、その”まかくしょうしょう”というもので見つかっちゃったらどうしようかと思ったが、師匠でも見たことがないほどレアらしいので、いったん気にしないことにした。
「…と話してる間にも動かないくらいには、ロートートルはゆっくりだから」
先ほど見つけた亀の魔物、ロートートルは、草を食べているのか、口だけモサモサ動きつつも、身体はさっきの位置から微動だにしていなかった。
「じゃ、早速倒してみようか、師匠からは、なにかあるかい?」
「弟子でもないのに師匠と呼ぶな。そうだな、噛みつかれはするかもしれんが、死ぬことはない。冒険者になるなら、これくらいさっさと済ませてこい」
「え、噛むの」
「お、過保護かと思ってたけど、なかなか言うね」
「もう冒険者だからな。ほら、さっさと行ってこい!」
「師匠の鬼~!!」
そう言いつつも、師匠の言うことを素直に聞くユナだった。




