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第19話「ブムの魔法」

1000PV突破しました!ありがとうございます!!

ところでおトイレって広い場所だと、野生の本能的に緊張してうまくできないという話を聞いたことがあります。

 ユナの探知の力を見たサリナとレンは、いまだに信じられずにいた。


 「ユナちゃんって、もしかしてギルド長レベルなのか…?」


 「おいおい、そんなの街一番どころじゃねーぞ」


 「でも俺っちより探知範囲が広いとなると…」


 そう言って話し続けているサリナとレンをよそに、ユナはある気配を感じ取っていた。

 それは、ずっとそばにいた気配。ユナの大切な繋がり。


 「トイレ!」


 「そんなで無名って…。って!あ!おい!!勝手に行くな!レン、ブムの魔法は?」


 ブムの魔法とは、最近(ちまた)で流行りのおトイレの魔法だ。周囲に匂いが拡散するのを防ぎつつ、外側からの視界を塞ぐことができる一石二鳥のおトイレ魔法。

 外で野宿することも多い冒険者たちにとって、匂いで周囲の魔物たちに気取られないのは重要だ。一方で、匂いが拡散しないということは、自分の周囲に匂いが(こも)り、人によっては悶絶(もんぜつ)するという微妙な使い勝手の魔法だ。


 「魔法なんて使えてたら斥候役なんてしないよ」


 「つかえねー」


 「そんなこと言ってないで、ユナ行っちゃうよ」


 「こらー勝手に行くなー!!」



ーーー



 ユナの大切な大切な繋がり。

 るーちゃんとふうちゃんとの気配を、契約のおかげで感じ取ったユナは、森に隠れてだったら会えるかもと思い咄嗟(とっさ)におトイレと叫んで走り出したが、大人の足にかなうはずもなく、まんまと追いつかれた。


 「魔物が出たらどうするんだ!」


 「えっと、その、漏れそうで…森が見えたから、いけるかなって」


 サリナの怒った雰囲気にやや気圧(けお)されながらも、もしかしたら会えるかもしれないという気持ちがうずうずしてしまうユナ。


 「サリナ。トイレは仕方ないだろ。ほらユナちゃん、行ってきな」


 「うん。覗かないでね?【気配探知】も、恥ずかしいからダメだよ!」


 「じゃあ俺も行く」


 サリナが即答する。


 「ヤッ!師匠ついてこないで!」


 「サリナ、7歳でも立派なレディだ。それにさっきの探知の力見ただろ?」


 「それでもだッ!」


 「…じゃあ俺も【気配探知】しとくからさ。ユナちゃん、それだけは許してくれるかな?」


 レンの気配探知があるとるーちゃんとふうちゃんがバレてしまうかもしれないが、ユナにとって、今ここで機を逃すことはできなかった。二人に会いたい。


 「うーん、うーん、じゃあ…」


 「…チッ」


 「師匠舌打ちメッ!」


 「わーったよ、行ってこい。漏れそうなんだろ」


 「うん漏れそう!行ってきます!!」


 ガサガサと森の茂みの向こうへと隠れていくユナ。


 「っておい!」


 当然のようについていこうとしたサリナを、レンが首根っこを掴んで止める。


 「もしかしてついていくのか?」


 「当たり前だ!」


 「あのなあ、子どもが好きだからって過保護すぎだろ」


 「魔物が出るかもしれないだろ!?」


 「ここは比較的安全だって、俺っちも【気配探知】してるし、な?」


 レンやサリナ、レイナたちが住むユリクスセレファスの街は、首都ということもあって、街の外であっても広範囲で魔物狩りが常に行われており、滅多(めった)に魔物が出るということはなかった。


 「それに探知が使えるんだぞ?いくらスキルで気配が消せるとはいえ、もしバレたら弟子に嫌われるかもしれないぞ」


 「う…」


 弟子に嫌われるという言葉は、師匠の足を止めるのに効果抜群のようだった。


 「チッ」


 「メッだぞ、師匠」


 「レン、てめぇ…」


 ゴゴゴと後ろから聞こえてきそうなほどサリナがキレた。



ーーー



 サリナとレンがじゃれあってるころ、ユナは2つのことで悩んでいた。

 もちろんトイレのことではなく、どうやってレンの【気配探知】を(くぐ)り抜けてるーちゃんとふうちゃんに会うか、そして気配が近いのに一向に近づかない二人はどこにいるのかの2つだ。


 「うーん」


 モヤモヤとしながら、おトイレといった手前、隠れやすそうな場所を探しながら歩いているとき、それはそこにいた。


 「……にゃうん」


 「ワッ!!!?!?」


 ユナの探知にも引っかからない猫がそこに、目の前にいた。

 深い穴と見間違えたかと思うような、真っ暗な、真っ黒な猫がそこにいた。


 ユナは一瞬で警戒する。思わず飛びのき、心臓が早鐘を鳴らし、呼吸がうるさくなる。

 武器は持っていない。今、ユナにできることは。



ーーー



 キュグムムム、そんな空間が割れるような音がレンとサリナの元へ届く。


 「おい!レン!何の音だ!ユナは!?」


 「なんだこれ!?」


 「行くぞ!!早く状況を教えろ!」


 レンとサリナは森へ駆けだした


 「なんか、今まで感じたことのないような気配が、ユナちゃんがいたところに集中してて…」


 「ユナは無事なんだな!?」


 「ああ、すぐそこに、もう着く」


 ユナの気配はそこまで森の深くまでは入ってはいなかった。レンが気配を感じ取って、二人が駆けだしてからその場所に着くまで1分もかかっていなかった。


 「大丈夫かユナちゃん!!」


 「…おいレン!どこだ(・・・)!?!?」


 そこは、茂みの中でぽっかりと空いていて、周囲は木々で視界が(さえぎ)られ、しゃがめば茂みで完全に隠れそうな場所。おトイレをするには少し広いが、まあそれには向いているような、そんな場所だった。


 「そんな…」


 「おい!!」


 「ここだ」


 「どういうことだ!!」


 「ここ(・・)なんだよ!!ここにユナちゃんがいたんだ!!ここにしか気配がない!!」


 「そんな…」


 そこには誰もいなかった。

私事(わたくしごと)ですが、本日5月14日、結婚しました!

これからも変わらず、(つき)に2~4回投稿していければなと思います!

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