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第193話「エリくん」

 翌日の放課後。

 ユナ、アラタ、メイゲツの三人は、昨日のように第二グラウンドに集まり、修行の続きをやっていた。


「もう少し、ぎゅっと、縮めるみたいに」


 ユナは口に出しながら、イメージを固めていく。【探知】で大雑把に方向を定めることは最初からできていたが、人に狙いを定めるような使い方はしたことがなかった。もっと狭い範囲で、横だけでなく、縦も縮めて、人のサイズにするようなイメージ。


「ぐぬぬ……」


 両手をアラタの方向に向けて、そこに収まるようにイメージするが、縮めようとすると【探知】の距離も縮んでしまって使い物にならなかった。


「待たせた」


 そこに現れたのは、とても昨日知り合ったとは思えないほど印象に残っている人物、エリック・ゴルビシュッツがいた。2年生は、ユナたち1年生より授業数が多いため、遅れての登場だった。


「やっときたか」


 アラタは手を止め、汗をぬぐいながら軽くぼやいて応じる。


「ふん、では早速だが、改めてスキルを見せてくれ」


「あ、うん」


「では拙者はこれで」


 ユナとアラタ、それにエリックの三人が研究という形で進めていくということを聞いていたメイゲツは、その場を去ろうとした。


「いや、メイゲツもいていいんじゃないか?というか、いてほしい」


「いいのか?」


「エリック、いいよな?」


「……」


 アラタはすっかり同級生のように敬語無しで話しかけていた。だが、エリックは無視する。


「エリックさん、…いいですか?」


「…………」


 ユナはアラタのもとに駆け寄って、思いついた答えを耳元で教えてあげた。


「エリくん、じゃない?」


「……マジ?」


「うーん、マジ」


「そうか…」


 会議を終えたアラタは咳ばらいをして、改めてお願いした。


「エリくん、メイゲツも一緒でいいか?」


「ああ!ユナくんのスキル的にも、動く対象は複数いたほうがより精度を求められるシーンを想定した訓練ができるだろう。僕では力不足だしな!協力者は多いに越したことはない」


「マジだった…」


「はは…」


 ユナはこんな困った上級生もいるんだなと、アラタに合わせて乾いた笑いをするしかなかった。


「エリくん殿!」


「なんだ?」


 メイゲツの適応スキルはユナやアラタよりも優れていそうだった。


「不束者でござるが、よろしくお願いいたす」


「ああ、こちらこそよろしく頼む」


「それで、拙者は何をすればよいだろうか」


「あー、まず、ユナくんのスキルを僕がきちんと把握する必要がある。その間は二人でチャンバラでもしておいてくれ」


「チャンバラて」


「あい分かった!」


「それでいいのか……」


 アラタはまたぼやきながら、メイゲツと一緒に少し離れたところで手合わせを再開した。


「では改めて、スキルを僕に放ってくれ」


 エリックは上着を脱いで、両手を広げてユナに相対(あいたい)する。

 ユナは生唾を飲んだ。


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