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第187話「第二グラウンド」

「それで、その【探知】の修行っていうのは、具体的に何をやるんだ?」


 ユナも、ググリが唐突にアラタを誘ったことにあまり理解が追い付いていないが、流れに身を任せてみることにした。実力テストのチームメイトだったとはいえ、久しぶりにしゃべるアラタに、少し緊張しながらユナは答える。


「その、本当にググリが言ってくれた通りで、【探知】をさせてほしくて」


「俺は何すればいいんだ?」


「いつも通りで、特に何もしなくて大丈夫。あーっと、たまに【探知】されるのに気づく人も、いるけど」


 ユナはなんとなくアラタの方をまっすぐ見れず、斜め上を見ながら話していた。


「そうか、なら全然問題ないな。早速やるか?」


「へ?ここで?」


「いやいや、グランドに行って」


 アラタはユナが冗談でも言ったのかと思って、笑いながら返す。


「だ、だよね」


 少し顔を赤くしながら、ユナは今度は顔を下に向けた。


「じゃあ別行動ね。ユナちゃんをよろしくね」


「メイゲツ、頼んだ」


「はい!!」


 そう言って、リンとググリは教室を後にした。


「では、行こう」


「おう!」


「う、うん」


 メイゲツ、アラタ、ユナの3人も、移動し始めた。この三人だと、なんとなくメイゲツがリーダーっぽい立ち回りをしているが、ググリがいるとググリに従う立場になるググリとメイゲツの関係が少し気になるユナだった。



ーーー



 ユナたちは部活グラウンドへとやってきた。正式には第二グラウンドと言うらしいが、主に部活のときにしか使われないため、生徒たちの間では部活グラウンドと呼ばれていた。ユナたち新入生が部活見学をした部活棟のすぐ横に位置し、様々な部活や同好会が一緒に活動できるぐらいには広かった。その片隅に陣取る。


「ここ?」


「ああ、そうだな。この辺にしよう」


 周囲にも、ユナたちと同じようなグループが何組かいる。グラウンドを大きく使うような部活とは遠い位置で、ちょっとしたスペースを使う人たちが、まばらに散らばっている形だ。それぞれ、魔法の練習をしたり、組み手をしたりしている。グラウンドの中でも、この場所はそういうエリアなのだろう。


「試験で使ったところは?」


 ユナは試験で使った空間のことを思い出していた。あそこなら場所も気にせず、ケガも多少は大丈夫だったはずだ。


「試験場のことか?あれ、めっちゃ使うの大変らしいぜ」


「何でもエネルギー消費が激しく、試験など正式な行事でしか用いないらしい」


 アラタのざっくりした返しに、メイゲツが解説を加える。そのテンポの良さに、ユナは二人の距離感の近さを感じた。


「それで、始めていいか?」


「え?あ、うん!お願いします」


「おう!じゃあ始めるか」


「だな」


 そう言って、二人はストレッチを始めた。てっきりいきなり素振りや手合わせをすると思っていたユナは、拍子抜けしてしまったものの、自分も素振りを始める前は準備体操をしなさいと言われていたのを思い出した。


「じゃなかった、えっと…」


 ユナは二人から距離をとる。他のグループに邪魔にならないように気を付けつつ、とりあえず5メートルほど離れた。


「よし…。【魔素探知】」


 ユナの身体から、同心円状に感覚が広がっていく。二人が【探知】にひっかかった。


「うおっ!」


 その声はアラタのものだった。


「すごいな!これが【探知】か!」


「う、うん!」


 少しだけ離れていたので、ユナも少し大きな声で返した。


「拙者には…、ぐぬぬ」


 どうやらメイゲツにはわからなかったようで、アラタがわかるのに自分がわからなかったことが悔しかったようだ。


「頑張れよ!」


「うん!」


 褒められてちょっと嬉しくなったユナは、距離的にはまだ問題ないはずなので、もう少し遠くからやってみることにした。


「【魔素探知】」


 感覚が広がっていく。先ほどより多くの情報が手に入る。メイゲツとアラタの二人だけではなく、他のグループも引っ掛かり始める。


「ふう」


 ひとまず二回目を終えた。すると、鋭い視線を向ける人が一人。


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