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第186話「修行の付き合い」

「はい、なんでしょう?」


 そう言いながら、帰り支度をしていたのか、メイゲツはカバンと教科書を即座に机に置き、呼びつけたググリの横へと駆け付けた。

 ユナはメイゲツの姿を見て、やはり笠が似合っていないなと思ったと同時に、ググリの笠に対して全く違和感を感じなくなっていることに気が付いた。


「ユナの、修行に、付き合って、ほしい」


 メイゲツがジッとユナの方を見る。ユナは、名前覚えてくれてたんだとか場違いなことを考えながら、緊張しつつメイゲツの答えを待った。


「……拙者が、ですか?」


「ああ。難しく、ない。立ったり、少し動いたり、しながら、【探知】される、それだけだ」


「なるほど。協力したいのは山々なのですが、すでに先約がありまして」


「それは?」


「はい、アラタ殿と、剣の修行をしているのです」


「そうか。アラタ!」


 ユナはその大きな声にビックリした。自分たちと一緒に部活をしているときは、ググリはどちらかというと寡黙というか、落ち着いているイメージがあるからか、こんなに大きな声がでるのはギャップだった。


「あ?」


 教室の端と端。急に呼ばれたアラタは戸惑ったのか、それとも理解が追い付かなかったのか、返事ともわからない呆けた声で返したが、その場にメイゲツがいるのを認めるや否や、こちらへと向かってきた。


「えっと、俺に何か?」


 メイゲツとググリを交互に見ながら、落ち着かない様子で問いかける。急に呼びつけられたら確かにそういう態度にもなるよねと、ユナは同情した。


「ユナの、修業に、付き合ってくれ」


 ブフッ、と何かを飲んでいたわけでもないのに、ユナは噴いてしまった。あまりに不意打ちだった。皆の視線が突き刺さる。


「大丈夫か?」


 真っ先に声をかけてくれたのはアラタだった。


「う、うん、大丈夫」


「それで、修行って?」


「【探知】の、修行だ。お前たちが、剣を振るところ、それを【探知】させてほしい」


「まあ、それくらいならいいけど?」


 事態が良く飲み込めていないアラタは、疑問符を浮かべながら、それでも了承してくれた。


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