第177話「森の封鎖」
「封鎖?」
「ええ。森の中に入っていいか、どこかから許可が得られるのか方法を聞いて回っていたのですが、どうやら本格的に封鎖するから入ることはできないだろうとのことでした」
「へ、へぇ~……」
「すいません、力になれなくて」
「…へっ?あ、ああ~そうですね?」
リンは、よかった先に森に行っておいて、と安堵して返事がおろそかになってしまった。
「どうかしました?」
結果としてコリー先生に猜疑心を抱かせてしまった。
「いえ!何でもないです!残念ですけど、仕方ないですね!」
「……もしかして行きました?」
ビクッ!としたのは、リンではなくユナだった。コリー先生の視界からは外れていたのが救いだ。
「いや、まさかそんなわけないじゃないですか!」
リンは頭を掻きながらなんとかごまかす。そのリンを訝し気に見るコリー先生。
「……まあ、いいでしょう。封鎖は結構本格的なものらしくて、塀を作るそうですよ。今日にももう仮の柵が設置されるとか」
「そうなんですね」
ググリの視線がユナのほうに向けられる。ユナにはどういう意味か分からなかったが、とりあえず頷いておいた。
「それで、調査のほうはどうなりそうですか?」
「はい?」
「ミルクイス先生から依頼されている調査ですよ」
リンは森のことで頭がいっぱいで、そこに向かう理由になったほうについてすっかり頭から抜けてしまっていた。
「ああ、そうですね~、どうしよう?」
リンが唐突にユナに振る。
「へっ!?あ、っとー、魔術陣をもっと調べるとか」
「そう、だな。オレもそれしか、思いつかない」
ググリが助け舟を出してくれた。
「…というわけで、いったん振り出しに戻りそうです」
「そう…、ですか。少し、僕も森に何があるのか気になってきましたね」
「それなら――」
そこでリンの口をガバッとググリが手で覆った。
「……どうしたんですか?」
コリー先生の視線が痛い。
「なんでも、ない」
ググリが少し苦しそうに返事をした。




