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第170話「探索開始」

 その日の夜。ユナたちは寮の裏、ググリの部屋から見えた少し色味が違う木の根元へと集まった。学園の敷地内だからということもあってか、寮の構造は出入りが容易な造りになっていて、巡回や他の寮生といった人の目さえ気を付けていれば、玄関以外でも外へ出ることは容易かった。学園指定のコートはフード付きで、外見は黒色、裏地もえんじ色のような濃い赤色で暗闇に紛れやすいというのも都合が良かった。


「無事に集まったね」


 ユナ、リン、ググリ、全員無事に集合することができた。ユナはこんな時間に出歩くのは久しぶりだったので、少し興奮しているような、どこか眠いような、不思議な感じだった。一方でリンやググリは落ち着いているようだ。特にリンは、先ほど集まっていた時に比べるとだいぶ落ち着いているように見える。


「い、行こうか」


 声が震えている。落ち着いているのではなく、怖いから静かなだけだったようだ。ググリはやれやれといった様子だ。


「手、つなぐ?」


 ユナはそんなリンに手を差し出した。


「ううん!大丈夫、大丈夫だから。じゃあいこっか【(ライ)―」


「待った」


()】ッ?なに?」


 制止したのはググリだ。リンの手が一瞬明滅する。


「光、目立つし、いざというとき、夜目が利いたほうが、いい。明かりは無しで」


「え、え~~!!」


「シッ!声、でかい」


 リンはパッと口を押えた。ボリュームに気を付けながら問う。


「…じゃあ、暗いままで行くってこと?」


「ああ」


「そんなぁ…」


「夜目が利くまで、確か、30分くらい、かかるんだったか?」


「そうなの?」


 リンがユナに振る。


「私も知らない」


「向こうの傾いてる木は見えるか?」


 ググリが寮と反対の方向、森の奥の方を指さす。


「う~ん?」


「どれ?」


 ユナもリンもどれのことを言っているのか分からなかった。


「…少し待つか」



ーーー



 しばらくして、ググリが指さしている木が見えるようになったころ、三人は出発した。月明かりもない、暗い夜だった。


 夜の森の中は、思っていたよりも騒がしい。ところどころに枯葉が落ちていてパリッと音がするたびに少し緊張するし、徐々に暖かくなってきたせいか、虫や鳥の鳴き声が鳴りやまない。


「ユナ、どっちだ?」


 先頭のググリから質問が来る。先頭に立ってくれてはいるものの、道筋はユナの【探知】頼みだ。進みは少し遅くなる。


「まだ真っすぐで大丈夫」


「わかった」


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