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第164話「リンの相談」

 翌日は休日だった。食堂で朝ごはんを食べ終えて自室に戻ってきたユナは、真面目に宿題でもやろうと思って手を付けたものの、どうにも手に着かず部屋をウロウロしたり教科書をパラパラとめくったりしていた。


「ごめんくださーい」


 コンコンというノックと同時に、静かな部屋に声が響き渡った。木材で作られているドアは、夜の足音が聞こえるくらいで防音性が微妙だとは思っていたが、声だとこんなに響くのなら、独り言も気を付けないといけないかもとユナは思った。


「はい」


 誰かわからないが、とりあえずユナは返事をした。


「あ、いたいたリンです!ちょっと相談したいことがあって」


「ちょっと待って」


「うん!」


 ユナは髪がぐちゃぐちゃになってないか鏡で確認して、部屋が散らかってないか見回して、とりあえず大丈夫そうだったのでドアを開けた。


「お、おはよう」


「おはよ!」


 そこには制服姿のリンが立っていた。休日の服装の指定は特にないが、私服の持ち合わせがほとんどないユナは休日も制服で過ごしていた。私服や部活に合わせた服装で過ごしている人も見かけるが、制服で過ごしている人も少なくない。


「ユナちゃんも制服派なんだね」


「リンもね」


「そうだね、あんまり私服なくって」


「私も」


 どうやらリンもユナと同じ理由だったようだ。

 そこで話は止まり、沈黙が流れる。こういうときはいつもリンが話し始めてくれるが、今日はそうではないようで、ユナの方から話を振った。


「……それで、相談って?」


「あー、ね」


 最初の服の話をしているときから少しぎこちない感じはあったが、本題を振るとリンは露骨にギクシャクとし始めた。


「その、ね、えっと、そう!部活のことで相談したくって」


「部活の、こと?」


「そうそう!それで、その、ググリもいたほうがいいから一緒に行こ」


「え…?」


「さ、一緒に!」


 そう言ってリンはユナの手を掴んだ。リンはよくわからないテンションのまま、ユナはなされるがままに、寮を回り始めた。



ーーー



「…えーっと、こっち?」


 リンは緊張の面持ちで男子寮へ入ろうとしていた。


「そっちは男子寮でしょ?」


「ググリって男の子じゃなかった?」


「ググリも十三組だから個室じゃない?」


「あ、そっか、そうだよね」


 あははと笑いながら、リンは向きなおして個室の方へと歩いていく。やはりどこかぎこちなかった。


 リンついていきながら個室を巡り、ググリと書いてあるドアをようやく見つけた。ここまで特に会話はなかった。


「いくよ?」


「うん」


 リンもユナもどこか緊張していた。


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