第154話「ミルクイス・カータンベルク」
「はい、そうですけど、どなたですか?」
そこには、リンもユナもググリも見覚えの無い、大人の女性が立っていた。
「失礼…しました」
ぼそぼそと喋るその女性は、髪でよく顔が見えないかった。かろうじて眼鏡をかけていていることがわかるが、明るい栗色のような髪色に反して暗いなと感じる人だった。身長が高いほうのリンでも見上げていたので、おそらくコリー先生と同じかそれより背が高いくらいだろう。見上げる形になっているリンであれば、顔が見えているだろうか。
「わたしは、ミルクイス・カータンベルク……。非常勤講師で植物学を担当しています」
「ひじょうきん…?」
「……、たまにしかいない雇用形態の先生です」
「そうなんですね!ということは先生に、あ、コリー先生になにか用事ですか?」
非常勤も雇用形態もよくわからないリンだったが、先生という単語でとりあえずおかしな人ではないと判断して、話を進める。
「……、いえ、魔術陣研究会に」
「私たちにですか?」
「……、そう、かもしれないです」
「えっと……」
ミルクイス先生の独特の間と、掴みどころのない話に、リンはたじろぐばかりだった。
「すいません、お待たせしました」
そこにコリー先生がやってきた。
「先生!お願いします!」
リンは即座にコリー先生の後ろに回って背中を押す。
「え、えっ!?あーっと、カータンベルク先生でしたっけ?」
「覚えてくださってたんですね」
「ええ、同じ教師の方々は一通り。それで…?」
コリー先生はリンの方を見て、どんな用事なのか確認しようとするが、リンはブンブンと首を振った。
「どういったご用件でしょうか?」
「……、魔術陣研究会に、調査をお願いしたくて」
「研究会に?調査、ですか?」
「はい。魔術陣について、で」
先週は更新できずに失礼しました!2024年はこれが最後の更新となります。読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!2025年もよろしくお願いします!




