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第144話「決めた部活」

 教室を出てユナが辿り着いた場所、それは魔術陣研究会だった。


「ごくり」


 そんな音が聞こえてくるほど、ユナは大きく生唾(なまつば)を飲んだ。最初に悩んでるとためらった上に、整理すら途中で投げ出してしまったのに、今さら入りたいなんていって良いんだろうかと怖気付いていた。でも、ここ以外に人も、人数も、場所も、やりたいことも重なる場所がなかった。


 脳裏ににーちゃんーー偽神ーーが浮かぶ。さっきも思い返していたけれど、やっぱりにーちゃんの存在は異質だった。村で両親と過ごしていた時間と比べても、レイナやサリナと過ごしていた時間と比べても。

 それが脳裏にこびりついて離れなかった。自分の魔力とも違う力と、あの巨大な魔術陣、そして普通に【モンスターテイマー】のスキルを受け入れたこと。

 悩めば悩むほど、思い返せば思い返すほど、その思い出は強くなっていくような気がした。あの魔術陣が気になる。また、会わなきゃいけない気がすると。


「あれ!?ユナちゃん!?」


 そんなふうに魔術陣研究会の部室の前で考えていると、ユナに声をかける人がいた。


「リン!…さん」


「リンでいいよ」


 そこには本を抱えているリンがいた。久しぶりに話すユナは、一瞬詰まってから距離を取るような呼び方をしてしまったけれど、リンは全然そんなこと気にしていないかのように接してくれた。


「うちに入ってくれるの!?」


 リンもユナと同じタイミングで入った新入生だろうに、もう”うち”なんて呼べるくらいになっているのを凄いなと思いながら、ユナは改めて少し悩む。


「えっと……」


 どうしてもスキル関連の部活が脳裏をよぎるが、やっぱりスキル分類研究会や、スキル向上同好会に入れる気はしなかった。


「………」


 しばらく悩んでいたユナだったが、それでも本を抱えながらもきちんと待ってくれるリンだった。


「…入ります」


 ユナは魔術陣研究会に入ることに決めた。


 うっかりスキルの本が紛れ込んでいるかもしれないと思った。それに、スキルに関する魔術陣もあるかもしれない。ベルが園芸部の部室で、園芸関係の本ばかりが並ぶ中で魔術陣の本を見つけたように。


「やった!ありがとう!!」

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