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第117話「魔術陣の種類」

「そこからなんですね…」


 気の遠くなるような本の多さなのに、魔術陣関連かそれ以外かという根本的な分類からやるということは、その2つに分けてからもっと細かい分類に入っていくということだ。その途方もなさに、リンがため息をつくのも仕方がない。


「わかる分くらいは先に分けておきたいんですけど、どういう風に分けようと思ってるんですか?」


「それも悩んでるんですよね~。実用性でいけば、やはり大別すべきは魔道具とそれ以外かになってくるんですが、そうすると魔術陣の分類的にはズレてきてしまう。かといって魔術陣の分類で分けてしまうと、今度は術が同じものを探したいときに困る。けれど、術で分類するとなってくると魔術陣を見て分けていかなければならないし、そもそもそれぞれの本ごとに記述されている魔術陣がきちんと分類されているわけではないので、そういった雑記的なものと専門性をもったものとでも分けていかなければ――」


 そのまま話し続けるコリー先生に対して、何を言っているのかサッパリわからないユナは、その余りの独り言の多さに目をパチクリさせてしまった。


「先生、先生!それくらいにして」


「ん?あ、ごめんごめん、悪い癖でね」


 そう照れながらまた頭をポリポリと掻く。ユナはこっちの癖はどうなんだろう思ったが、口には出さなかった。


「そうだなー、まず最初はなんと言っても魔術陣研究会の存続だからね。僕の研究する場所、そしてこれらの本の置き場所を失うわけにはいかない!」


「ですね」


「そうなってくるとだね、少し僕の専門とは外れてしまうが、やはり実用性の高い簡易循環魔法陣で、まずは実績作りといかなければならない」


「わたしもあんまり好きではないですけど、やっぱりそうなりますよね」


「あの」


「「ん?」」


 コリー先生とリンが同時にユナの方を見る。視線の圧を感じたユナはひるんでしまうが、一呼吸おいて、聞いてみることにした。知りたいことはたくさんあるのだから、知れるタイミングがあるなら、逃すわけにはいかない。


「魔術陣って、そんなに種類があるんですか?」


「そうだね。細かく分けてしまえば、無限にあるといってもいいかもしれない」


「無限…?」


「そう、無限。限りが無く、とても数えきれない」


「そんな…」


 だったらここにある本はどうするんだろう。リンが感じていた途方の無さはこれだったのかとユナも気が遠くなった。


「ただ、人間が使うような魔術陣となってくると、大体は4つに分類することができる」


「4つ」


 なんだか一気に少なくなって、希望が見えてきた。


「一つ目が今言った循環魔術陣じゅんかんまじゅつじん。現代においては最も普及していると言ってもいい魔術陣だね。単純な機能を繰り返し使うようなもの、主に魔道具に良く採用されている魔術陣だ。電気を付けたりとか、音を大きくする拡声器とかね」


「あっ!」


 ユナは入学式で使われていた魔道具を思い出した。その様子を見て、ユナが何を思い出したか見当がついているコリー先生はしたり顔をしながら続ける。


「二つ目は現代魔術陣(げんだいまじゅつじん)。まあ要は僕たちが扱いやすいように頑張って今研究している魔術陣だね。現代魔術陣の中に循環魔術陣も含まれていると言ってもいいが、循環魔術陣はあまりに増えすぎてしまったからね…。今では現代魔術陣と言えば複雑なものという印象で、生徒にはあまりウケなくなってしまった」


「だけど、わたしは現代魔術陣を研究しているのよ!」


 リンはどこか誇らしげだ。


「そうなんですね」


 まだよくわかっていないユナは、そう普通に答えるしかなかった。


「そして3つ目。僕の専門である古代魔術陣だ。今はもう失われてしまった技術なんだけど、現代魔術陣にどうしたら転用できるかという研究をしているんだ」


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