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第104話「魔術陣研究会」

 リンに付いていった先にあったのは、こじんまりとした建物だった。屋上から見えた建物のうちの一つだ。小屋というにはもう少し無骨な感じというか、公共の建物のような四角い形をしていた。だが、とても部活棟のような大きさではなく、一軒家かそれより少し小さいぐらいだった。


「ここです」


 そこには”魔術陣研究会”という看板がかけてあった。


「こちらへ」


 玄関の鍵は()けていたのか、先生が腕と足とでドアを(ひら)いた。その脇を抜けるように入っていく。


「わぁ……」


 そこにはとにかく本、本、本。本の山だった。壁一面が本で埋め尽くされているのにもかかわらず、床にもいくつかの本が積まれていた。

 ユナの家にも少なからず本があった。けれど、そんなのはほんの一部でしかなかったんだと、ユナは目の当たりにした気分だった。


「ユナさん、そこの、空いている床のところ」


「はい」


「あ、もうちょっとこっちに。そこだと日が当たっちゃうから」


「んっと、ここでいいですか?」


「うん!ありがとう」


 そう言いながら、リンも空いているスペースに自分が持ってきた本を置いた。


「いやー、昨年度でこの研究会の部員は全員卒業してしまったのですが、年度替わりの大掃除で本を整理すると言われてたのをすっかり忘れていて、図書委員に怒られちゃいまして、あはは」


 自分の本も空きスペースに置いてきたらしい先生が、ユナに説明し始めたけれど、ユナの方は何を言っているのかさっぱりわからなかった。


「先生、それじゃわからないですよ!この魔術陣研究会は、もともと部員が少なくって去年度でみんな卒業してしまったんですって。でも、新年度になるにあたって本の整理をお願いされていたみたいで、人手も無いのにそれをすっかり忘れていたから、今こうして慌てて掃除しているの」


「それで…」


 リンが無理して本を運んでいたのも、この床にまで積まれた本の山たちも、それが原因だったのだ。


「ごめんねリンくん。それで、ユナさんさえよければ、もうちょっとお手伝いしてもらえたり…?」


「先生!流石にそれは…ねえ?」


 そう制止しつつも、どこかで期待するような眼差しをユナに向けるリン。それをうまく受け流せるユナではなかった。


「は、はい…」


「ほんとに!ありがとう!この調子で魔術陣研究会にも入ってくれたら嬉しいんだけど」


 リンがそんな風に調子に乗るが、ユナはブルーベルの言葉を思い出して踏みとどまった。


「その、もう少しいろんな部活を見てから決めます」


「そっか、そうよね!」


 ユナはひとまず、魔術陣研究会の本整理のお手伝いをすることになったのだった。

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