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第99話「勧誘」

 校舎を出てしばらく歩く。試験場に向かうときにも思ったが、このユリクス魔法学園はやはり広い。部活棟に向かうまでに10分以上は歩いていた。ちょっとした散歩くらいの気分だ。

 しばらく歩いていると、入学式や実力テストのときに見かけた人たちの姿が見えてきた。同じように、部活見学に来たのだろう。

 そうやって徐々に人数が増えていきながら、部活棟に着く。


「薬の知識で人助けしませんかー!」


「芸術こそ魔法の極致!!是非魔法彫刻部へ!」


「われらに空という自由を!飛行魔法研究会!」


 すでに様々な勧誘で賑わっている。その熱にあてられて、みんなソワソワとし始めた。


「これが部活棟です」


 クラ先生の視線に合わせて、賑わっている後ろ、部活棟の建物を見る。それは、校舎と遜色ないくらいに立派だが、少し古びた雰囲気があった。ここユリクスセレファスの街であっても、三階を超えるような建物はなかなかないが、この部活棟は五階建てだ。それだけでも部活、研究に力を入れているということが見て取れた。


「ここから見えるのは正面だけで、他にもグラウンドや庭園、別棟もあります」


「ふぇ…」


 入学式で見た体育館から始まり、この学園のスケールのデカさに圧倒されっぱなしのユナだった。


「正面玄関に入ると各部室の地図や、掲示板には各部活の紹介もあるでしょう。ここで勧誘されて見学に行くのもいいですし、いったん中に入って一通り把握するのもいいでしょう。それでは、いってらっしゃい」


 クラ先生の案内はここまでだ。皆それぞれに興味のある部活や研究会、同好会へと向かっていく。それはあっという間で、ユナはすっかり置いてけぼりを食らってしまった。


「イツツ…」


 なんとなく今回も話しかけて来るかなと思っていたイツツもいつの間やらどこかへ消えていた。


「どうしよう…」


 大半が向かっていった飛行魔法研究会になんなく着いていこうか、でも興味がないものに行ってもな、などと悩んでいると、あっという間に取り囲まれてしまった。


「君!センスが良さそうだ!ぜひ速射魔法研究会に入らないか!?」


「そんなスピード狂の話しに乗っちゃダメよ!ぜひ料理部に来ない?」


「いつも世話になっている料理部には申し訳ないが、このこは肉体開発部に来てもらう!」


「えっと…えっと……、ごめんなさい!」


 ユナはその小さな体を活かして、隙間を縫うように勧誘に迫ってきた先輩方から逃げ出した。


 どうやら次のターゲットに即座に移ったようで、正面玄関に入ったユナのことは追いかけてこなかった。むしろ静かなくらいだ。部活棟の内部では直接の勧誘は許されていないのかもしれない。


「えっと、たしか地図と掲示板だっけ」


 同じようにとりあえず入ってきたであろう新入生たちが集まっている方へと向かう。ごちゃごちゃとした一番後ろについて、流れるままに前へ向かっていくと、そこには地図があった。とりあえず一番左下からみると、さっそくスキル分類研究会だった。


「スキル…」


 やはり、ユナがこの学園に来た理由と言えば、自分のスキルのことだ。スキルに関する部活がここだけかはわからないが、もう後ろから次の人たちが迫ってきていたので、ユナはとりあえずスキル分類研究会へと向かうことにした。

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