12発目 山崎は新たな試練に立ち向かう
階段を進んだ先には大きな扉があった。
扉は木製だがあちこちが金具で止めてある。
一人の冒険者が扉を押し開け先に進む。
山崎や他の冒険者も扉の奥へと進んでいった。
扉の先の通路でさっきの冒険者が山崎に語りかける。
「自己紹介がまだだったな。オレはクリフ。アンタは?」
「貴様に教える名前などない」
「そんな固いこと言うなって。同じ冒険者だろ?」
山崎は軽いため息をつくとクリフに名前を教える。
「山崎だ」
「山崎? 随分、変わった名前だな。初めて聞いたぜ」
「まあ、この世界では珍しいだろうな」
「この世界? まさか別の世界から来たとか言うんじゃないよな」
クリフは冗談半分のように山崎に聞く。
「なんでもない。こちらの話だ」
山崎はクリフにめんどくさそうに返す。
二人が会話をしていると目の前にはいくつかの別れ道があった。
「多分、どれかひとつが正しい道なんだろうな。どうにかして正しい道を見極めたいな」
「いわなくても誰でもわかる」
山崎は呆れながらそう言うとてきとうな道へ選び進む。
「おい待てよ! うかつに進むとトラップに引っかかるかもしれないぞ!」
「その時は回避すればいいだけの話だ」
山崎はクリフの言葉を無視してどんどん奥へと進んでいく。
◇◇◇
「なぜついてくる」
「いや~、俺もどの道していいかわかんないし、アンタについていけば安全かなって……」
クリフは頭をかき少し照れくさそうにしながらはにかむ。
「迷惑な話だ……」
クリフをまくにも狭い通路が続いている為、山崎は仕方なくクリフを無視した。
「トラップひとつやふたつあるかと思ったけど何にもないな。もしかして俺達、正解の道を選んじゃったww」
クリフはニヤニヤと笑う。
「まあ、俺的には巨大な岩のひとつやふたつ転がってきても良かったけどな」
クリフが余裕綽々といった表情で歩を進める。
ガコンッッ
何かが作動したような大きな音が通路全体に響き渡る。
「なんだ今の?」
クリフが首をかしげながら後ろを振り返ると、後方には巨大な岩石がこちらに向かって転がってくる。
「マジかよ……」
「お約束だな」
「お約束だなじゃねぇーー! 逃げるぞ!!!」
クリフが慌てた様子で走り出す。
しかし山崎はまったく動じず、後ろを振り返ると人差し指を岩の方へ向ける。
「おぃぃぃ! 何してんだよ、そんな悠長なことしてるとぺしゃんこになるぞ!」
クリフが後ろから山崎の首元を掴もうとした瞬間、山崎の指先から岩に向かってビームが放たれる。
ドカアァァァァァァァァン
ビームを受けた巨大な岩が轟音と共に木っ端微塵となる。
岩があった場所からは白い煙が立ち上がり岩のあった形跡はほとんどない。
クリフはあんぐりと口を開け、その光景をただただみつめるだけだった。