11発目 山崎はレイスを退治する
相手が幽霊の類いなら光が効いてもおかしくないはず。
だが普通に攻撃しただけでは身体をすり抜けダメージが通らない。
レイスの対処に悩む山崎。
その間にもレイスは次々と数を増やし冒険者達に襲いかかる。
「あまり時間をかけている暇はないようだな」
山崎は指をパキパキと鳴らすと上空のレイスを見つめた。
ふとその時、山崎はふところにある小瓶の存在を思い出す。
小瓶には薄っすらと輝く水が入っていた。
この小瓶は最初の街を出る前、物売りから強引に買わされた代物だ。
なんでもこの小瓶には貴重な聖水が入っていて、魔除けや厄除けに最適だと物売りは話していた。
断ったがしつこく売りつけようと山崎を離さなかった為、不本意ではあるが仕方なく山崎は銀貨10枚で水の入った小瓶を購入した。
山崎はふところから小瓶を取り出しフタを開けてみる。
すると山崎に近づいていたレイス達が山崎を避けるように浮遊を始め他の冒険者の方へと寄っていく。
「この聖水の瓶に反応しているのか……」
山崎は口元に手を当て少しの間、思慮する。
そしてある方法を思いつく。
「これならレイスを倒すことができるかもしれん…」
山崎は手のひらに小瓶の聖水を少し垂らすと、聖水を圧縮させいくつかの玉をつくった。
そして聖水を圧縮させた玉を弾丸のようにレイスへ向かい放った。
バッシュバッシュバッシュ
聖水の弾丸はレイスに触れると飛散し、聖水に触れたレイスは叫び声を上げ光の粒となって浄化されていく。
「読みがあたったか」
山崎は次々と聖水の弾丸を作りレイス達を狙い撃つ。
「少々、しゃくだがあのしつこい物売りに感謝だな」
レイスは弾丸から逃げるように浮遊をするが山崎はそれを逃さず確実に捉えていく。
数分後、苦戦を強いられていたレイスは全て浄化をしていた。
その光景を見ていた冒険者達は呆気にとられながらも山崎を賛辞した。
「スゲーよアンタ。おのレイスをいとも簡単に攻略するなんて…」
「大した事ではない」
「そんな事ないぜ。レイスは特殊で聖属性の特殊魔法か聖器でしか太刀打ちできないのが常識だぜ」
「そうか。だが山崎の敵ではない……」
レイスが消えて少し時間が経過すると壁が動き出し上層へとつながる階段が現れた。
冒険者達は現れた階段を各々、登り始める。
山崎も他の冒険者と同様に階段を進んでいく。
階段を登る中、山崎の肩を後ろから誰かが叩く。
「よっ! さっきはお手柄だったな!」
「誰だ。この山崎に気安く触るな……」
「そんな冷たいこと言うなよ。同じ冒険者だろ?」
このノリの軽い冒険者に山崎は少し顔をしかめた。