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一人ぼっち

連載と言う名の短編予定。

危ない、危ない、危ない!


「ダメ――――!」


私は力を振り絞り、アラルの下に走り出す。

杖をふるい、宝珠から魔布を出す。


だめ、ガルダ、お願いだからやめて。

アラルを殺さないで。

私は魔布でアラルを包み込んだ。

直後、ガルダが氷息を吐く。

でも、魔布をまとったアラルは助かる。


ガルダ、あなたはここに居ちゃいけない。

私はあなたも殺せない。

お願いだからここから離れなさい。

私は残っている魔力をすべて使い、転移門を開いた。


転移門は音も無く開き、ガルダを吸い込む。


「ごめんねガルダ。」


もう魔力が残っていないから、あなたの行き先を指定できない。


「でも生きて。」


そう私は呟いた。


アラルに目を向けると、彼は必死になって剣で魔布を切り裂こうとしている。


「そんな事をしても無駄なのに………。」


凍り始めた私の体。

それでもわずかな微笑みを残し、私は砕け散った。


「マイリ―――――‼‼」


遠くでアラルの叫ぶ声がした。




夢か。

これは最近度々見る夢だ。


よく見る夢は何種類か有る。

宙を飛ぶ夢、

でも笑っちゃう事に、高くは飛べないんだ。

せいぜい膝ぐらいの高さを必死に飛んでいる。


あと、怪獣に追われる夢。

町の人が大慌てで逃げていくのに、私は追い付けない。

すると学校のベランダから布団が落ちてきて、

私はそれに潜り込み、何とか姿を隠そうとする。


あと何か有ったかな?

有った筈なのに、なぜか思い出せない。


「まぁ、それも夢だよね。」


さてと、眼も覚めた事だし起きますか。

そして私は、いつもと変わらない一日を始める。


天涯孤独とは言わない。

でも、近しい親戚はいない。

遠い親戚なら、2組ぐらい知っている程度。

もう分かると思うけど、親兄妹は遠の昔に死んだ。

10歳の頃、自宅が火事になり私だけが助かった。

その時は既に親戚と呼べる人はいなかったし、

遠い親戚は私を引き取る事を拒否した。

なぜか私の事を気味の悪い子供と嫌っていた。

だから私は独り立ちできるまで、施設で育った。



私は食パンを一枚焼き、

立ったままそれにかぶりつく。

冷蔵庫から出した牛乳をマグカップに注ぎ、一気に飲み干した。


「おっと、もう7時半か。

急がなくちゃ。」


一人で居る事にはもう慣れた。

でも、たまに誰かに傍に居てもらいたい衝動に駆られる。

私はまた、おまじないのように言葉をつづる。


「これは私が選んだ道だから。」


なぜかこれを言うと自分の心が慰められる。

多分諦めが付くのだろう。


私は慌ててアパートの扉に鍵を掛け、

カチャカチャとノブを動かし、鍵を確認した。

鉄でできた階段をカンカンと下りる。

これも大分錆びて来たな。

大家さん、塗り替えなくちゃどんどん錆びて、階段に穴が開いちゃうのに。

そう思うけれど、大きなお世話かな。

最後の階段から足と踏み出すと、

そこにはなぜか、ぽっかりと大きな穴が開いていた。

私はそれを回避する事も出来ず、そのまま穴に落ちて行った。


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