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009_オレはチート下位互換予備軍か?

「…そっか…。とりあえずわざわざ言うことじゃないから言ってなかったけど…、僕はエルフや天使と同じく見た目と年齢は違うよ」

『…え』


 確かにオレの知ってるエルフや天使なんかは全盛期で年齢が停滞して数百歳でも20歳前後の見た目だってのは王道だけど…、でもスノゥはどう見てもまだ子供の容姿だ。

 童顔だからと言われても…、やはりそうは見えない。全体的に幼さがある。


『…えぇ~と…、おいくつ?』

「およそ200ちょっと」

『大雑把!ていうか200越えっすか…』

「僕の種族は色々存在する種族の中でも特殊で、見た目年齢も性別も環境や感情なんかで変化するから…数年前までは僕はもっと幼かったんだ。これでも成長したんだよ」

『そんな種族がいるのか…。というか…今性別もって言ったか?』


 オレは聞き逃さなかったぞ。

 そして思い出した。スノゥを鑑定したときに出てきたステータスの【性別:男型】型ってなんだよ…。


「うん。僕は基本的にずっと男性の型でいるし、僕自身そう思っているから男なだけで、バランスが崩れると女性の型になることも稀にあるよ」

『…雌雄同体ってことか?』

「そういうのとは違うかな」

『どうしたら女の子になるんだ?』


 気になるだろう?男なら!そこんとこ気になって当然だ!

 男の状態でも女の子に見えるスノゥが本当に女の子になったら!絶世の美少女になるに決まっている!


「…さぁ?」

『…へ?』

「興味ないし、性別が変わって困ったこともないから調べたことない」


 スノゥらしいといえばスノゥらしい…。普通は気になるし、調べられるなら調べるだろう…。


「それに、調べてもいいことないから。僕の種族が滅びたのも他の種族にはない特徴や能力の所為だから、これ以上そんなのは必要ない」


 そう言ったスノゥはどこか悲しげに見えた。


「だいたい…」

『…ん?』

「調べるなら君の生態の方が興味あるかな。生物学の研究者からしたら喉から手が出るほど興味深い存在だと思うよ」


 手をワキワキさせ、薄ら笑いを浮かべスノゥが近づいてくる。

 先ほどまでのシリアスはどこ行った。

 スノゥはオレによじ登りタテガミに寝転がって顔を埋めた。


「まぁ、そんなわけでお金のことは気にしなくてもいいんだけど…、落ち着かないっていうのも分からないわけでもないから協力はするよ」

『おお、ありがたい!』

「というか、以前ちらっと魔法…使いたいようなこと言っていたけど…鑑定以外に何かできるの?」


 鑑定は魔法じゃなくスキルなんだけど…、まあ似たようなもんか。


『鑑定以外だと…マップ?』

「マップ?…って地図?」

『そう。自分が行ったことのある場所とか施設が分かる…やつ』

「迷子にはならなそうだけど…」


 微妙な反応だ。

 迷宮とか森の中とかならば役立つスキルだってのは分かるが、日常生活では迷子防止くらいにしかならない。

 まぁ、オレとしては城の敷地が広すぎて、どこに何があるか1度では覚えられないから、便利ではあるが…。


『あ、でも人とか魔物とか植物とか場所も記されるから人探しや危険察知には役立つぞ!』

「う~…ん」


 あ、これまた微妙な反応だ。

 スノゥはチートっぽいからなぁ…。オレのスキルなんて下位互換のさらに下位なんだろうな…。


『あとは…属性が地属性と無属性…ってくらいだけど…』

「え…」


 スノゥは少し驚きの混ざった声を上げて体を起こした。


『ん?属性になんかあるのか?』

「そうだけど…、というか…自分の属性把握しているんだと思って…」


 なんでも属性に関しては神殿で神託を受けるか、ごくまれにそれを知ることのできる魔法を使える者に調べてもらうか、しらみつぶしに色々試してみるしかないらしい。だから、魔法の使ったことの無いオレが知る由がないと。

 まぁ、これが異世界特融スキルなのかもしれないが…他人の属性も分かれば少しだけチートに近付けたかもしれないというのに、なんともやはり中途半端な能力だ。


『結局役立たずか…』


 そういって落ち込むオレに対してスノゥはもう一つの無属性の可能性について教えてくれた。

 無属性を持つ冒険者は武闘家や大剣使いに多いらしいが、自分の属性をちゃんと調べたことのない者たちは、風属性や地属性と勘違いしているのが大半だそうだ。

 そもそも最近までは無属性という属性は認知もされていなかったという。

 そして、オレが使っている鑑定やマップも無属性に属され、スノゥが使用していた空間魔法も無属性だそうだ。

 ただ無属性が使える者は少なく、無属性の魔法を使えるスノゥに白羽の矢が立ったそうだ。

 というか、その無属性だけではなく、古代魔法そのものが使えるそうだが、古代魔法は現代では禁止されているらしい。

 なぜなら…。


「古代魔法には一瞬で世界を破滅させることが出来る魔法があるんだよ。でも現代魔法と組み合わせつつ、危険なものは開発せず、便利な魔法だけでも発展させたいってことで、僕はその研究に駆り出されているんだ」


 確かに…空間魔法なんかは超魅力的だ…。荷物いらずだし。馬ごと馬車も収納できるとか…皆欲しがる魔法なのはよくわかる。


「というわけで少し話はそれたけど、魔法使いとして無属性魔法は使いこなせれば無敵、そうでなければ無意味。両極端な属性なうえに、そもそも使いこなせるのは一握りもいない。武闘家や剣士達が使えるのはさっきも言ったように風や地と勘違いしているからに過ぎないんだよね」

『…ていうか勘違いで魔法が使えてるってことか?』

「…ん~…、魔法っていうのにも色々あるから…。あまり魔法が得意じゃない人は魔法陣や詠唱で魔力を引き出して使うけど、上位になってくると短縮したり無詠唱で使ったりするけど、どちらにしても魔法を使う際にどういった魔法をどうやって使うかをかんがえてつかうでしょう?それと同じで剣の切れ味をより鋭くするためのイメージで剣に魔力をのせた結果発動したのが風か無で、起こす現象はそっくりだから無属性というものを知らなければ風と思い込み、そのまま使い続けているだけ…って感じかな?」

『今の話の感じだとさ…、イメージさえしっかりしていれば魔法陣とか詠唱なしでも使えるってことか?』


 イメージだけで使えるなら、オレにはゲームやアニメによって魔法のイメージは簡単だ。


「使えると思うけど、慣れていないと魔力をゴッソリ持っていかれるよ」


 現実は甘くなかった…。

 だけど、オレにもチートの希望が湧いてき…たような気もするが…。

 ちらりと見上げるとそこには無属性の上位互換となる古代魔法を知っているスノゥ。

 無属性が使いこなせるようになったところでオレは…チート下位互換…だな。


「あ、そういえば仕事がしたいって話だけど」

『そうだった。もともとはその話をしてたんだ』


 完璧に属性の話に興味がそれていた。


「僕は城というか王都から出るのには許可が必要だから面倒だったんだけど、採集の仕事なら依頼してくれる人いるよ」

『採集?でも鑑定魔法ってあまり知られない方がいいんじゃなかったか?』

「ジンは魔獣だし『現物が一つあれば匂いでわかる』ってことにすれば問題ないよ」


 そうか。オレは魔獣だった。忘れてたわけじゃないけど、そういう言い訳の方法もあるか。


「と言ってもまずは服を作ってからかな」

『…そうだな…』

魔法云々に関しては結構曖昧な世界です。

実際にはちゃんとした内訳?や詳細があったりはしますが、スノゥ自身が大雑把(いい加減?)な性格なうえに、そもそも独学のようなものだったために詳しくはないからです。ほかにもスノゥにはまだまだ秘密がいっぱいで、主人公が翻弄されていくと思います。

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