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023_服が届いた

 スノゥから魔法は何やら複雑で難しいのだと教えてもらってから数日。オレはとりあえずマリーさんとちょっとした訓練に行ったり、スノゥがとりあえず読んでみたら?と持ってきてくれた初級魔法の本を眺めたりしながら過ごしていた。

 そうしているうちに待ちに待った日がやってきた。


『服だ!オレの!服!』


 そう、服が届いたのだ。もっとかかると思っていたのだが、あのお兄さん(名前は忘れた)が頑張ってくれたようだ。


「自分で着られる?」

『が…頑張る!』


 手先は人間だったころに比べれば不器用になったが、動物っぽい手にしてはかなり器用だともいえる。悪戦苦闘しながらズボンを履き、靴を履き、ただ可動域的に背中には手が回らないのでそこだけは手伝ってもらい、ようやくすべてを着終えた。

 かなり疲れたが、鏡を見てみると想像していたよりもずっといい。自分で言うのもなんだがなかなか似合っているのでは?


「ペット感が増したね」

『これなら出歩いても突然攻撃されることはないな!』

「ジャボを捲ったら身分証が見えるようにもなってるよ。あと、右側のベルトについている小さなバッグには空間魔法を付与してあるから、そうだな…大体この部屋が埋まるくらいの量なら入るかな」


 この部屋って…教室一つ分くらいだよな…。


『そんなに??そんな入れるもんないぞ?』

「魔物とか狩ったらあっという間に一杯だよ」

『いやいやいや!魔物を狩る予定なんてないし!』

「まぁ、大きいに越したことはないよ」


 …そうかもしれないけど、これがフラグにならなきゃいいな…。


 そのほかにも今まで腕に巻いていたマントやアクセサリーと同じように防汚や翻訳、衝撃緩和、魔法吸収、そしてオレの位置探知(GPS的なもの)と攻撃不可とたくさん付与されているらしい。


 監視にも似た位置探知はスノゥはあまりつけたくなかったようだが、オレが自由に出歩くために必要だったらしく渋々つけることにしたらしい。オレは特に気にしないから問題ない。

 そして攻撃不可というのは、魔物以外へ攻撃をしようとすると静止魔法が発動するらしい。これも自由を得るための条件だったそうだ。まぁ、今のオレはツッコミを入れただけでも人を吹っ飛ばしそうだし、むしろありがたい配慮だ。ただ、これは盗賊なんかの悪党なんかにも適用されてしまうため、これもスノゥは付けたくなかったようだ。


 いくらくらいかかったんだろうな…。怖くて聞けない…。いつかなんかの形で恩返しするよ。


「せっかくだから少し街中歩いてみる?」

『おお!行きたい!あれ、でもスノゥ仕事は?」

「今日は昼から教会まで行く予定があるんだ。ヒューゴ隊長も一緒だから、僕が教会で仕事している間はヒューゴ隊長と冒険者ギルドにでも行って顔つなぎしてもらうといいよ」




 そうして、昼食を終えたころ、ヒューゴ隊長が迎えに来た。

 いつもは馬車で教会まで向かっていたらしいが、オレが一緒に行くことになったため、馬車ではなくオレに乗っていくこととなった。

 もちろんヒューゴ隊長も一緒に乗る。細身の大人3~4人くらいなら乗せて歩ける。

 早速鞍もどきが役に立つ。


「本当に私も載せていただいてよろしいので?」

『もちろんっす』


 オレは頷きながら乗りやすいようにヒューゴ隊長の前で伏せる。

 身長的にスノゥが前で後ろにヒューゴ隊長。


「いやはや…、馬以外の動物…魔獣?に乗ることとなる日が来るとは」

「馬より快適だよ。寝ていても目的地に着く」

「はっはっは!それは確かにそうかもしれませんな!ジン殿は見た目こそ魔獣ですが人と変わらぬ知性をお持ちですからな」


 まぁ、オレ元人間だしな…。だからその分乗せる人も選ばせてもらうけどね。

 人もの少ないところは軽く速足で駆け抜け、人が見えてくると怖がらせないように速度を落とす。オレの存在に慣れ始めた城の敷地内とはいえ、まだ怖がる人もいるからな。人間関係はそういう気づかいが大切だ。

 でも服の効果か、スノゥと隊長さんを乗せているおかげか、その両方か、あからさまに怖がる感じの人がいない。


 そうして城門まで到着し、隊長さんがオレを連れていくことをいうと難なく門が開けられた。

 もっと何かしら言われるのではと思っていたが、隊長さんの信頼のたまものか。


『それで、教会まではどう行くんだ?』

「んー、大体あっち」


 と、スノゥは適当な感じで指を差す。


「違います。逆です。ジン殿、とりあえずこの道を道なりにまっすぐ進んでください」


 隊長さんが間髪を入れず訂正する。

 今日もスノゥの適当さは絶好調のようだ。

不定期もいいところですね…。申し訳ございません…;;

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