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018_訓練する?

 ようやく勢いが止まりオレは仰向けで寝転がっていた。


 これ、車だったら間違いなく大破していたな。そして見えない壁とかじゃなくてよかった…。万が一壁とかだったら、流石にオレ…死んでたかも。

 とりあえず立ち上がろうと一度体勢を立て直すが直ぐにゴロンと転がってしまう。転がりすぎてまだ目が回っている。

 目が回った以外には特に外傷はない…と思う。事故の直後は負傷の痛みを感じられないことがあるとは言うけど…。

 でも体を触って確かめても骨が折れたとかって感じはない。

 泉で子供たちに襲われたときも、子供たちの魔法や弓が当たってもかすり傷一つ負わなかったことを考えると、オレの体はかなり頑丈らしい。


「ジン様ー!」

「ジン様!ご無事ですかー⁉」


 遠くからマリーさんとアンナがオレを呼びながら駆け寄ってくる。ゲートも見えるが、距離的に2~300メートルは転がったな。

 体がどんなに頑丈でも三半規管は鍛えられないんだな…。


「ジン様!」


 先に傍に来てくれたのはアンナだ。マリーはまだ半分くらいの距離にいる。身体能力は獣人の方が上なんだろう。


『大丈夫です』


 まだちょっとクラクラしているが、とりあえずそう言ってその場に座る。


「お怪我とかしていませんですか⁉」


 アンナはオレの体を触りながらグルグル回り様子を見る。もう少し時間が経ってみないと分からないが、心配させるのも申し訳ないから、首を振って『なんともない』と意思表示をする。そして単語カードにも【大丈夫です】というのを作っておいたので、それを見せようとカードを入れていた腕に巻かれたマントを見て思い出した。


 そういえば、このマントには衝撃緩和の付与がしてあるとか言っていたな。俺自身の頑丈さと付与魔法のおかげで無傷なのかもしれない。

 チートが無いと思っていたけど、この頑丈さはチートレベルだな…。


「ジ…ジン様!お…お怪我は…?」


 息を切らしたマリーさんがやってきた。


【大丈夫です】


「本当にビックリしたんですよー!ものすごい勢いで戻ってこられたと思ったらそのまま柵に突っ込むんですから…」


 アンナがオレに怪我が無ないことに安堵し、今度はちょっと怒ったようにふくれていた。

 いやー…面目ない。

 息を整えたマリーさんも一度「本当に大丈夫なんですか?」と言いながらアンナと同じく、オレの体を触りながらグルグル回り様子を見た。


「ジン様にはこの空間でも少々狭かったようですね」


 いや、オレがアホだっただけだと思います。調子に乗っちゃいました。


「ジン様は森の中で暮らされていたとのですし、森の中では全力で走り回るなんて出来ませんから爽快だったんでしょう」

「街の外の平原なんかで走り回ろうものなら冒険者たちに追い回されることになっちゃうですよ」

「ですが、ジン様。今後のことを考えて、あの子たちと一緒に少し訓練をしましょう」


 とマリーさんが向けた視線の先には戻ってきた犬たちが池で水を飲んでいた。


『訓練…?』

「主に障害物を避けながら走る訓練です。あの子たちは森の中では獲物を追い詰めたり誘導したり、街中では悪人を探し出し捕えたりするのに、瞬発力や判断力を鍛えています。森の中でも木々や障害物ををよけながら全力で走りまわれます」


 獲物を追い詰めたりする予定はないが、追いかけられたりする可能性はゼロではない。泉で追われたし。それにこの体で動き回るのが楽しくなってきた。

 オレはその申し出を受けることにした。


「ではとりあえずあの子たちの所まで戻りましょう」





 池の傍まで来ると犬たちが各々自由に休憩をしていた。


「それじゃあアンナ、今日は初級の障害物を作ってほしいんだけど、距離や大きさをジン様に合わせて作ってもらえる?」

「了解しましたです!」


 そういうとアンナは駆け出し、少し離れたところにハードルのような障害物を作り出した。そしてまた駆け出し、次は平均台のようなもの。不規則な距離に電柱のような柱。アンナがどんどん遠く離れていく。


「しばらくのんびりとお待ちくださいね」


 マリーはそう言ってカバンからブラシを取り出すと犬たちのブラッシングを始めた。

 手持無沙汰になったオレはとりあえず池をのぞき込んでみた。とても綺麗に澄んでいて底まで見える。試しに鑑定をしてみると【飲料水】と出た。人でも飲めるほどきれいな水らしい。

 手を入れてみると結構冷たい。

 だけど、流石に池から直接水をすくって飲む気にはなれない。

 そう思って水をバシャバシャやっているとマリーさんが声をかけてきた。


「あ、もしお水を飲まれるんでしたら、こちらにコップに注ぐ場所がありますよ。池はこの子たちがたまに泳ぐことがありますし、ジン様はとても文化的な生活をされているようですからこちらの方がよろしいのではないでしょうか」


 そう言われてマリーさんが示した先へ行くと竜の手からも水が出るようになっていた。手の方は口とは違い常に流れているわけではないらしい。オレのことを本物の魔獣と思っていながらも、人と同じ扱いをしてくれるのはありがたい。

 せっかくなので、そこから水を出し、コップが無いので手で受け飲んでみた。


 うん。普通だ。でも冷たくてうまい。


 水を飲んでのんびりしているとアンナが戻ってきた。


「ただいま戻りましたですー!ジン様に合わせて大きくしてみましたですが実際に使って様子を見て後日もっと使いやすいように改良したいと思いますです」

「おつかれさま。アンナも少し休んでて。全員のブラッシングが終わったら開始するよ」

「はーい」

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