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017_爆走してみた

 反射的に閉じていた目をゆっくりと開けるとそこには草原が広がっていた。

 もはや庭や広場なんて言うレベルではない。


 地平線が見える。


『…どこやねんここ…』


 先に入った犬たちはもはや豆粒だ。

 ところどころに大きな木が生えていて、出入り口の近くには人工的に作られたような整った池があり、その池に向かって某国の口から水を吐き出すアレのように竜が水を吐く像がドンと置かれていた。

 口から水を吐く像はどこの世界にもあるんだな…。


「ジン様もこれだけ広ければのびのびと出来るでしょう」


 うーん…。子供の時ならいざ知らず、走り回って遊ぶような歳でもないんだけど…。でもこの体の身体能力を確かめるにはちょうどいい機会かもしれないな。

 前に湖の周りで追いかけられたときは、必死だった上にすっころんだりでよくわからなかったし。

 でも全力で走ってて見えない壁にぶち当たる…何てことないよな…?

 入ってきたゲートの方を振り返るとゲートから横に地平線の彼方まで続く柵が伸びている。

 何気なく柵の向こうに手を出してみるが壁があるわけではない。


「あ、ジン様、柵は超えてしまっても大丈夫ですよ。策を超えると反対側の柵から出てくると言いますか…あちら側がこちら側の最果てといいますか…そろそろ先に飛び出していった子たちが柵の向こう側に見えてきます」


 オレがゲートの周りをウロウロしながら検証しているとマリーさんが説明してくれた。


 壁がなく、あっちとこっちが繋がっている…てことは、どこかで無限ループするようになっているのか。

 それにしたって、向こうに走っていった犬は地平線に消えていき、反対側の地平線から現れるってどんだけだだっ広いんだよ。そして犬たちの体力も無限かよ。


 凄いと思うのを通り越し呆れていたら本当に犬達が走って行ったのとは反対側から犬たちが走ってくるのが見えてきた。

 そしてあっという間に柵を飛び越しマリーさんやアンナの周りを楽しそうにグルグル回り始めた。

 一見ドーベルマンっぽい感じの犬だけど、マリーさんたちと並ぶとドーベルマンより大きく見える。

 異世界だし…犬よりも魔獣に近いのか?それならこの足の速さと体力はうなずける。


 何気なく犬を観察していると、その犬たちが今度はオレの周りを回りだした。そして突然走り出してすぐに止まりこちらを振り返りその場でぐるぐる回りだす。

 オレ…今は獣だけど犬語は分からんぞ。


「ジン様を競争に誘っていますですよ」


 アンナが言う。

 そういえばアンナは犬の獣人っぽいし、犬語がわかるのか?じゃあ、もしかしてライオンの獣人がいたらオレの言葉が分かるんだろうか?

 …そういえば竜族だとかい男に一度会ったとき言語が分からないだけで何となく言葉を話しているのが分かるようなこと言ってたな…。

 こういう事はあとでスノゥにでも聞いてみよう。

 とりあえず今は…。

 犬たちがめっちゃオレを煽っている。オレが動かずにいるとまた戻ってきてオレの周りをグルグル回って少し駆け出しグルグル回るを繰り返す。

 体の大きさ的に歩幅が違うとはいえ、犬と競争して勝てるのだろうか…。でもマリーさんとアンナが見ている手前いいところを見せたい。たとえオレのことを男としてみていなくても。

 そう決めるとオレは猫のように体を伸ばすと犬たちの居るところまで歩くとマリーが犬笛を吹いた。

 すると犬たちが整列した。


「準備はよろしいですか?」


 心なしかマリーさんもアンナもわくわくした顔をしている。

 オレはこくりと頷き走り出しやすい姿勢をとる。


「では。スタンバイ」


 そういうと整列しつつも落ち着きなかった犬たちがスッと駆け出す姿勢をとる。


「…GO!!」


 オレは一瞬出遅れる。そういえばスタートの合図って「よーいどん」じゃないんだな!犬笛で合図じゃなかっただけマシか。わからんし!


 犬たちはオレの数メートル先を走っている。

 

 ふむ。これ…勝てる。

 オレ的に今は少し早めのジョギングくらいの速さだが、見た感じ犬たちは全力っぽい。

 というか、走るのめっちゃ気持ちいい!

 正直に言って最初は25にもなって犬と駆けっこなんて…って思ってたけど、走るの楽しい!

 この体が体力や瞬発力があるおかげで疲れそうにない。

 グングンとスピードを上げていく。あっという間に犬たちと距離が離れていく。

 風が体を駆け抜けていく。

 まったく疲れても来ないうえに、体が軽い。飛ぶように走れるというのはこういうことを言うのか。

 気が付くと後ろに居たはずのマリーさんたちが前に見えてきた。ゲートと柵がある。

 ただまっすぐ走っていただけなのに、本当にループしているんだな。


 そんなことを考えているとあっという間に目の前に柵。


 自分がどんなスピードで走っていたのか考えていなかった。猛スピードで爆走していたら、遠目に見えたと思ったときには、もう目の前にあった。

 飛ぶタイミングが全く分からなかった俺は柵に足を引っかけ、またも盛大にすっころんだのだった…。


 柵は魔法が掛かっているのか頑丈で壊れず、オレは勢いを殺さずに突っ込んだために飛んだぜ…。そしてゴロゴロと転がりまくったぜ…。


「ジッジン様――――――っ⁉」

「わー‼ジン様‼ジン様ー‼」

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