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015_閑話-スノゥー

 研究塔の一室、書斎では無いけどいつも気が付けば本だらけになって、その陰に隠れるように僕は本を読んでいる。

 長い間人と触れ合うことなく生きてきたからか、人が視界に入るのが気になる。だからできるだけ陰に居たい。

 少し離れた死角になって見えないところで、レグやほかの魔導士たちがいろいろと難しいことを話し合っている。

 見えていなくても、レグ以外の人たちがこっちをチラチラと気にしているのがわかる。

 人は嫌いじゃないけど、その目は苦手。

 どこにいても、何をしていても、何か含みのある視線を向けられる。昔からそうだった。


「えーと、そろそろヴァンエント殿のご意見も伺いたいのですが…」


 本の山の隙間からレグが覗き込んで声をかけてきた。

 レグは僕のお目付け役らしい。

 魔導士として結構上の立場らしいけど…正直階級とか役職に関しては意味がよくわからない。

 だって、どうしてかここで一番何もしていない僕がそのレグよりも上の役職だし。


「ん~…」


 とりあえず立ち上がり皆が囲んでいた机の上の魔法陣を見る。

 あれこれと難しい言い回しだったけど精霊を呼び出すための魔法陣を改良していたらしい。

 それにしても…無駄が多い。

この机一杯のサイズでこの文字の大きさだと、半分のサイズで描いたら潰れちゃいそうだ。


「これ、描くの大変そうだね」


 外側の文字に触れ指摘する。


「ええ、ですが魔力の流れを制御するのには、この外側の文字は必要不可欠ですから…」

「術者が理解さえしていれば略語でも大丈夫だよ。それとも理解してないような人が使うの?」

「いえ、理解していない者が使うには危険すぎますから…」


 ほかにも所々に穴のある場所を指摘して改善方法を伝えていく。これが僕の仕事の一つであり、国に保護、監視されているという理由がここにある。


 僕がただ珍しい種族だからという理由だけではなく、魔術に関する膨大な知識。


 僕は別に魔術の勉強をしたことがあるわけではないし、師匠がいたわけでもない。

 ただ、これは僕の種族が代々知識を継承していくという輪廻にも似た誕生をするからだ。

 親よりも子、子よりも孫、子孫が続けば続くほどその後継者には膨大な知識が継承されていく。

 もちろん、すべての知識が常に頭の中にあったらおかしくなってしまうので、必要な時に必要な知識が呼び出される。頭の中に図書館があるような感じかな…。

 だからこんなにも強い魔力や膨大な知識を持つはずの僕の種族に何があって、どうして滅びてしまったのかも記憶している。


 簡潔に言うと、欲深い人たちに狩られたんだ。


 精霊族は他の種族と共存しなければ生きてはいけなかった。

 性別もなければ成長という概念も乏しく、他種族の子供の成長に合わせて自身も成長し、愛する相手を見つければ相手の性別とは反対の性別となる。そうして他人と交わることによって性別や年齢が定まっていく。

 だけど、精霊族の血が長寿の薬や、欠損部位さえも再生する薬になると、他種族に比べ圧倒的に寿命の短い人間たちや、軍人達が知り、精霊族狩りが始まった。

 争いごとを嫌い、誰かを傷つけるくらいならば自分がそれを請け負い、誰かのために命を差し出すような種族だ…。

 あっという間に数を減らした。


 それでも生き残った父は、精霊族の血を、知識を途絶えさせてはならないと、精霊達の力を借り自分の命と引き換えに僕を生み出し、時の精霊の力によって、精霊族のことを知っている世代がいない時代へと送られた。

 そして僕を託された精霊はこのままでは成長をしない僕を精霊と人間のハーフだと偽り人間の心優しい女性に近付き僕を託した。

 一人でも生きられる年齢まで成長したころ、義理母となってくれていた女性が亡くなり僕は人の村から少し離れた森の中に住まいを移した。


 人間を憎むことはない。


 これもまた精霊族の血がそうさせるのかもしれないけれど、血のつながりのない僕を義理母となって育ててくれた女性がとても僕を愛してくれたからだと思っている。


 長い長い時を子供の姿でいたためか、森から出て人とかかわるようになった今でも成長は芳しくない。

 精神年齢は外見に引っ張られる傾向があると記憶にはあるけれど、実際はどうなんだろう。

 町の子供たちを見ていると僕とはまるで違う。子供っぽいとか、大人っぽいって何なんだろう。


 …まぁ、いいか。考えたって何がどうなるというわけでもないし。


 それよりも何か面白いことないかなー。

 今度ジンにおっきなリボンでもプレゼントしてみようかな。怒るかな?呆れるかな?

 あ、そういえばこの間王妃様にあったとき甘いもの好きそうな反応だったな…。確か近々街においしいって噂のケーキ屋さんが来るってメイドさんたちが話してた。ジンはまだ街に出られないから買ってきてあげようかな。

 …ケーキと見せかけてケーキそっくりな料理作ってもらおうかな。でも食べる前に匂いでバレちゃうかな?

 

 とりあえず今はジンと一緒に広い草原でゴロゴロしたいなー。

主人公のジンはまだ知ることのないスノゥの過去に少々触れました。

いずれ知ることにはなりますが、シリアスになりそう…(; ・`д・´)

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