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手に入れたスキルはガチャでした  作者: 林藤ハルト
学園生活編
56/57

再会!Another Party!①

 根元から斬り飛ばされる角。怪物の悲鳴をバックに僕の前へ降り立った一人の少女。

 少女は双剣を肩に担ぐと、自身に迫る怪物ミノタウロスの腕を視線すら向けることなく回避した。

 続けて地面に突き刺さった拳へ双剣の連撃を叩き込む。正確に打ち込まれた斬撃は筋肉の腱を切断している。あれではもう右腕は使い物にならなくなっているだろう。

 攻撃はこれで終わらない。怪物ミノタウロスが腕を引いた瞬間の体重移動に合わせて足元に侵入。そのままアキレス腱を切断した。

 自重を支えられなくなった怪物ミノタウロスは自身の体重移動の勢いを殺せず横転する。

 少女は怪物を圧倒していたとは思えないほど無邪気な笑みを浮かべてこう言った。


「やっほーユキくん久しぶりー」

「カエデ……なのか……?」


 少女の名はカエデ。以前勧誘を受けた冒険者パーティ、Another Partyのメンバーだった。

 だった……はずだ。


「ちょっとちょっとー反応薄くない?ボクのこと忘れたんじゃないだろうね」

「いや、忘れちゃないけどさ……」


(誰だよコイツキャラ変わりすぎだろ!!)

 というのが正直なところだ。

 僕の知っているカエデは物静かで稀に意味深な発言をするクール系不思議ちゃんだったはずだが……。

 こんなハイテンションな元気っ娘は知らない。


「何でこんなところにカエデがいるんだ?」

「それは内緒。ギルドからの依頼……としか言えないよ」

「さいですか」


 おそらくカエデたちは極秘クエストを受注したのだろう。

 極秘クエストはギルドが高ランクの冒険者パーティやクランを直接指名して依頼内容を伝える。内容を公に出来ないクエストのことだ。

 僕はクランにも正式なパーティにも所属していないし、そもそもランクも高くない。どんなクエストがあるのかは噂程度にしか知らなかった。

 だがそんなことはどうだってかまわない。

 今はAnother Partyの手助けが必要だ。彼らの助けがあれば怪物ミノタウロスにも勝てるだろう。

 そう、彼らの手を借りることが出来れば。


「そういえば他の皆はどうした?」


 居ない。いくら周囲を見渡しても、この場に居るのは僕、カエデ、エミリー、リアの四人だけだ。ハヤトやカイト、ハルカの姿が見えない。


「三人は遅いから置いてきた」

「置いてきたって……大丈夫なのかよ」

「大丈夫大丈夫。ボク強いから」


 ああ。そういえばコイツ〈超脳力〉とかいうチートスキル持ちでしたね。

 詳細は確か……脳機能の超強化だったか。その気になれば脳神経の伝達速度を上昇させて能力値以上のスピードで走ったり出来るんだろう。

 さっきの怪物ミノタウロスの攻撃を避けてたのは皮膚感覚と聴覚を強化して感知力を高めたというところか。

 と、認識を改めるのと同時に、凄まじい轟音が鼓膜を叩いた。


『@@@@@@!!』

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