ダンジョンは危険です①
あれから1週間が経過した。
あの後彼は1度もギルドに来ていない。
バカなやつだったがあれはやりすぎたな、大恥かかせちゃったわ。
とは言っても実際イライラしてたのは間違いじゃない。僕もまだまだ子供ってことかな。
心の中でではあるが、
俺はキレないぞ!大人だからな!!
と言ったのが恥ずかしい。
黒歴史確定だ。
「お前ら早くしろよ!急がないと置いていかれるからな!!」
「「「はーい」
今日の授業は本格実践、ダンジョンに潜る事。
30人居るクラスの中で三人一組を作る。その三人で攻略していくのだ。
こちらの世界に来て半年ちょっとが経つがダンジョンに入るのは初めてだ。
正直ちょっと緊張している。
ダンジョンに入る時に必需品となるものの中に、水に反応して発光する光源石というものがある。
これは水を入れたガラスの容器に入れてランタンのように扱うとても利便性に優れたものだ。
普通はパーティの後衛、魔法使い系統や回復役が持つものらしい。
なのでエミリーに持ってもらうことになった。
障壁魔法の得意なエミリーは後衛型のタンクだ。
「思ってたより明るい?」
「だね。これ光源石要らなくない?」
ダンジョン内はとても光源石が必須とは思えないほど明るかった。所々暗い部屋のような空間があるものの他は視界が悪くなるような所もない。
「ダンジョンには階層があるから進んでいけば暗くなってくるんじゃない?」
「そうですね。先生の話では明かりとして存在するとの事でしたから。」
10分後
「平和だな」
「平和・・・ですね。」
「これおかしくない!?魔獣が1匹もいないんだけど!!」
そう。ダンジョンとは魔獣を生み出す特殊な空間のことだ。そのダンジョンに魔獣が居ないなど有り得るはずがない。
だが、事実としてダンジョンに入ってからの15分間、僕達は魔獣を見ていない。
狩り尽くされたにしては早すぎる。3人ごとに別行動とはいえ出発したのは同時だしそもそもそんな速度で倒していける者が学園生などやっているか?
単純に考えれば僕は次席だからクラスで2番目に強いと言えるだろう。だが僕はワンフロアを掃討するなど不可能だ。余程掃討戦に向いたスキルを持っているのなら話は別だろうが、そんなことが出来るやつなど知らない・・・
いや
1人だけ居る
首席のセリカ・マクフェル、彼女のスキルは知らないが僕より強いのは確かだ。
大剣はデカい敵や多数の敵を倒すのに有用な武器だ。掃討戦に強くても不思議じゃない。
彼女がやったと考えるのが妥当だろう。
そう考えをまとめた瞬間、それは起こった。
「「「へ?」」」
突然大きな揺れが起こり、それと同時に足場が・・・
崩れた
「どこだ・・・ここ」
「足場が崩れたんだから2階層でしょ」
「ダンジョンの地面が崩れるなんて聞いたことありませんよ」
「ダンジョンの地面って魔力が濃くて普通の何倍も硬いんじゃなかったか?」
「そのはずですけど・・・」
「そんなこと言っててもしょうがないでしょ?早く1階層に戻りましょ。2階層の地図なんて持ってないんだから」
「地図もなしにどうやって帰るです?」
「そこは僕に任せてくれ。スキルで地形の把握は出来るから」
〈マップ〉を使えば近くの地形は丸わかりだ。精度を落とせばワンフロア分丸ごと認識することも難しくない。
一つだけ問題があるのすれば・・・
「はぁ・・・」
「「どうしたの?(です?)」」
「1階層の階段・・・遠すぎるわ」




