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手に入れたスキルはガチャでした  作者: 林藤ハルト
学園生活編
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迷惑な生徒

城を出た僕は真っすぐギルドに向かった。

クエストの報告をするためだ。


例の如くあの後も長時間話し込んでしまった。

太陽の角度から考えると6時頃だろう。


クロガネに乗っているとはいえ魔王城から王都までは3時間はかかる。絶食を経験した僕はともかく、2人は大丈夫だろうか?


普段より少し遅くなるくらいだから大丈夫だとは思うが、今日は気を張りっぱなしだっから普段以上に披露しているはずだ。


「クロガネペース上げてくれ」


『承知しました。』


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「よし!!着いたぞってなんでそんなにぐったりしてんの?」


「あんな速度で走られたら誰だってこうなるわよ!!」


「・・・・・・・・・」


リアはまだマシだけどエミリーは完全にダウンしてるな。

次があればもうちょっと気を使わないと・・・


「晩飯奢るから許してよ」


「「しょうがないわね(ですね)!!」」


こいつら演技してたんじゃないだろうな?


急に元気になりやがって・・・。


っとそんなことを考えてる暇は無かった。


早く終わらせてご飯にしよう。


「---だと--いって----」


ふと男の声が聞こえてきた。距離があるのでハッキリと聞き取れる訳では無いが、揉めていることは分かった。

ギルドに来て声を荒らげるなんて酒に酔ったおじさんが喧嘩をするくらいなものだからな。


近づいてみると揉めているのは僕と同じくらいの少年だった。


「どうしたの?」


「あっ、ユキさん。お疲れ様です、彼はエルド・ライツ君ユキさんと同じ学園の生徒です。」


「どうも」


「ふん!!そんなことはどうでもいい。関係ない奴は引っ込んでろ!」


吐き捨てるようにそう言ったライツという少年。


関係ないのは事実だが、今の言い方は少しイラッとくるな。だけどキレる程じゃない。


僕は大人だからな!!


「ほっといて先にご飯食べようよ!相手にしても無駄だって」


「でもクエストの報告が終わってないよ?」


「そんなの後でいいでしょ?ご飯食べおった頃にはこいつだって騒ぐの止めてるわよ」


「そいつは無理だぜ嬢ちゃん。あの野郎はもう2時間も騒いでやがる・・・食事程度の時間は開けるだけ無駄さ。クエストの報告をしたいんなら無理矢理にでも割り込んだ方がいい」


「「「2時間!?」」」


2時間も何を騒いでるんだよ・・・


それならもう待つのも面倒だし割り込むか?

でも割り込んで怒りの矛先がこっちに向くとそれはそれで面倒なことになる・・・


「諦めるか」


「だね(ですね)」


クエストの期限は1週間ある。面倒なことになるようなら多少遅らせた方が楽なのだ。


受けたのは今日だしな。

魔王城の偵察なのだからむしろ一日で終わる方が異常と言うべきだろう。


◆◇◆◇◆◇◆◇


あれから1時間が経過し、食事も済ませて銭湯にも行った。


ライツくんはまだ騒いでいる

だが一つだけ変わったところがある。


それはライツくんを数名の冒険者らしきおじさんに囲まれているところだ。


「何故だ!!何故俺の要求が飲めない!?」


「にぃちゃんちょっと調子に乗りすぎなんじゃねぇのか?ここは依頼を受けに来るところだ依頼にイチャモンつける暇があるならひとつでも多くのクエストをこなせばいいじゃねぇか」


「無礼な!俺は誇り高き魔総学園Aクラス首席のエルド・ライツだぞ!!貴様らのような底辺冒険者とは格が違うのだ!!」


駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・


「なんだにぃちゃんまた来たのか?残念だがまだこんな状況だ。クエストの報告は明日にした方が良さそうだぜ」


「ありがとうおじさん。でもそういう訳にはいかないんだよね」


同じ学園の生徒がこんな迷惑行為をしているのを黙って見ている訳にはいかない。

あれが原因で他の生徒まで同類と思われては困るからな。


ライツの居るクエスト受付カウンターに近づくと、魔力を感じた。


〈魔力感知〉周囲の魔力波を感じ取るスキルだ


感知した魔力はライツから発生している。

間違いなく魔法を使う気だ。


ライツの右手の甲に緑色の小さな魔法陣が出現した。


本来は魔方陣に色分けは無いのだが、あるスキルを得ることで視認出来るようになった。〈属性視認〉と名前はそのままだが、これはかなり有用だ。


速度操作(アクセラレーション)〉で一気にライツとの距離を詰める。

風を纏った拳が囲んでいた冒険者の一人に向かっていたがアクセラレーションを使っている僕にとっては大した問題ではない。


回り込んで冒険者の前に立ち防御魔法・・・は使えないので魔装を使用する。


〈雷撃刃〉


訓練をして部分展開が出来るようになった雷撃刃は今までのように肘まである手甲ではなく、まるで手袋のようになった。

最小にすれば指先1本だけにまで集中出来る


魔装の展開が終わり、ライツの拳の軌道上に右手を置く。


なかなか攻撃が来ない。


風属性ならスピードがあるはずなんだが?


あっ


アクセラレーション使ってたの忘れてたわ


バチン!!


解除と共に響く衝突音。

ひどいものでは無いが周囲にも衝撃波があった。


「な!?誰だ貴様!」


「僕は君と同じ魔総学園の生徒だよ、ライツ君」


ニッコリと微笑みながら優しく話しかける。


「部外者は黙っていろ!俺は俺より下の人間の意見は聞かん!!」


こいつマジで馬鹿だな。自分の攻撃簡単に止められたの分かってないのか?


でも好都合だな。


「そうか。自分より上の意見なら聞くんだな?」


「当然だろ?この世は力が全てだ。財力だろうと権力だろうと戦闘力だろうとだ。」


「それはいいことを聞いたな。ではお前にひとつ命令をしようか、内容は簡単だ。騒ぐのをやめて大人しく帰れ」


「何故貴様の要求を飲まねばならんのだ!!」


あれ?まだ分かってないの?


「お前が言ったことだろ?上の人間の意見は聞くってさ。」


「ッ!!」


「改めて自己紹介といこうか・・・僕は舞城ユキ、魔総学園Sクラス次席(・・)だよ。」


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