・・・後編
レオの話を聞き始めて10分が経過した。
人間と魔人の違いは分かったが、人間が魔人を敵視する理由が分からない。
[魔獣を統べる力を持つ]って言う勘違いが有るようだが、それだけで敵対などするだろうか?
本当に魔獣を統率できるなら人間はその力を持つ魔人を敵視するのではなく、むしろ取り込んで利用しようとするはずだ。
そっちの方が人間とって有益になるのだから当然だろう?
だとすると・・・
「歴史になにかあるかもしれないな」
「歴史?」
「うん。多分昔魔人と人間の間で何か合ったんだ。魔人はどうか知らなけど、人間は物事を記録して後世に伝えようとするからな。それも記録した者によっては改変されてることもある」
「なるほどね。つまり記録をとっていた人間は魔人を嫌っていて、魔人と人間のいざこざをあたかも魔人が全部悪いかのように書き換えた訳だ。・・・嘘にならない程度にね」
「2人は歴史分かる?」
「私は理系だから無理」
「私は結構出来ます。」
「じゃあ魔人について歴史ではどうなってる?」
「えぇーっと確か『魔人が人間の街に大量の魔獣を送り込んで全てを蹂躙した。それはひとつの街に留まらず、最後には街が三つ地図から消えた』と書いてありました」
なにそれ酷い!!
「そりゃ人間が魔人と関わりを持とうとしないわけだ・・・むしろ魔王討伐なんてクエストが出てないのが奇跡とも取れるな。」
「魔王討伐のクエストなら出てるわよ」
「・・・まじで?」
「まぁギルドランクB以上の人しか見れない掲示板に書いてあるやつだから知らないのも無理ないけどね」
あーうんそりゃ知らんわ僕のランクCだもん。
「それよりクエストは大丈夫なんですか?」
「今日のやつか?」
「はい。」
「この近くでやるのかい?」
「いや、魔王城の偵察っていうクエストがあったからそれを口実に遊びに来た。バレても問題ない程度の情報を書いてギルドに提出しようと思ってる」
「あーなるほど。じゃあ城の中には常に幹部が20人居るって書いといてよ。敵視されるのはあんまり好ましくないけど、どうせ敵対されるなら堂々と攻め込んできてくれた方が楽しいしね」
「その情報を聞いた冒険者が萎縮しないといいんだけどね。」
問題はそこなんだよなぁ・・・




